2001 Fiscal Year Annual Research Report
ラット臼歯モデルでの歯質吸収の発症機構:破歯細胞の分化・歯面への付着・活性化
Project/Area Number |
12671866
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Research Institution | The Nippon Dental University |
Principal Investigator |
島津 徳人 日本歯科大学, 歯学部, 助手 (10297947)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
青葉 孝昭 日本歯科大学, 歯学部, 教授 (30028807)
柳下 寿郎 日本歯科大学, 歯学部, 講師 (50256989)
田谷 雄二 日本歯科大学, 歯学部, 講師 (30197587)
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Keywords | ラット臼歯 / 浸透圧ポンプ / 破歯細胞 / 破骨細胞 / 増殖因子 / ビスフォスフォネート / 接着分子 / 細胞外基質 |
Research Abstract |
本研究においては、病的環境下における歯質吸収の発症機序を分子・細胞レベルで明らかにするため、ラット臼歯の外傷モデルにおいて歯根膜と歯髄腔での破歯細胞の分化、歯質表面への細胞付着と活性化について検討を進めている。本年度においては、体内埋入型浸透圧ポンプを応用して、臼歯根尖部に生理活性因子(FGF2、ヘパリン、デキサメタゾン、ビスフォスフォネートHEBP)を持続投与し、根尖切除後の創傷治癒にともなう硬組織吸収活性を比較検討した。実験動物には前年度に準じて、5週齢(体重150g)の雄性SD系ラットを用いた。今回の実験から、上顎骨の所定の位置に実験溶液(制御因子)を一定の供給速度で7日間から14日間持続的に送り込むことが可能なことを実証できた。臼歯根尖部に供給された制御因子(その作用効果)は、主に組織問隙と重力方向に依存して槽内中隔の歯槽骨に波及することと、広く開削された歯根断端から根管内歯髄組織にも影響を及ぼすことが確かめられた。FGF2持続投与群では、肉芽組織の増生とTRACP陽性細胞の集積、歯槽骨表面での破骨細胞の活性化と骨吸収の亢進が認められた。FGF2/ヘパリン混合投与群においては、組織内でのFGF2の安定化を反映して、FGF2によるTRACP陽性細胞の集積効果の増強と歯槽骨吸収の波及範囲の拡大が認められた。デキサメタゾン投与群では、炎症抑制効果とともにTRACP陽性細胞の数的減少と小型化・TRACP異染などで示される機能抑制効果が顕著であった。HEBP投与群では、骨基質の産生と石灰化阻害による類骨形成が顕著であり、既存の歯槽骨(石灰化骨質)と添加された類骨の近傍でのTRACP陽性細胞では、細胞質の大きさと波状縁の発達に明らかな相違が認められた。本年度での結果から、浸透圧ポンプによる可溶性因子の局所的・持続的投与法は、in situで局所環境を制御し、誘起される組織細胞応答を調べる上で有用であると結論できた。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] Shimazu Y, et al.: "Occurrence and histopathologic features of odontoclastic resorption on the internal dentin wall after replantation of rat molars"Oral Med Pathol.. 6. 59-64 (2001)
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[Publications] Taya Y, et al.: "Spatio-temporal expression patterns of gelatinolytic activity in mouse secondary palates"Oral Med Pathol.. 6・1. 37-41 (2001)
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[Publications] Sato K, et al.: "Sexual dimorphism of porcine amelogenins : male-specific amelogenins have strong adsorption properties onto apatite crystals"Odontology. 89. 28-33 (2001)
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[Publications] 島津徳人, 他: "ラット臼歯再植後の象牙芽細胞の運命:象牙芽細胞は虚血状態に耐えうるか?"日歯保存誌. 44・2. 350-360 (2001)
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[Publications] 佐藤俊一郎, 他: "ラット臼歯外傷モデルにおける歯髄・歯根膜組織の創傷治癒:体内埋入型浸透圧ポンプによる臼歯根尖部への薬剤持続投与"日歯保存誌. 44・2. 361-371 (2001)