2001 Fiscal Year Annual Research Report
咬筋機能低下症例(鎖骨頭蓋異形成症)を応用した、筋機能の分析に関する研究
Project/Area Number |
12671872
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Research Institution | TOHOKU UNIVERSITY |
Principal Investigator |
古内 壽 東北大学, 大学院・歯学研究科, 助手 (50209160)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
渡辺 誠 東北大学, 大学院・歯学研究科, 教授 (80091768)
幸地 省子 東北大学, 歯学部・附属病院, 助教授 (30005045)
笹野 高嗣 東北大学, 大学院・歯学研究科, 教授 (10125560)
佐藤 智明 東北大学, 大学院・歯学研究科, 助手 (50312591)
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Keywords | 鎖骨頭蓋異形成症 / 咀嚼筋 / 筋肉の大きさ / 節電図 |
Research Abstract |
1.目的 頬骨弓の形成不全のため咬筋機能が低下している鎖骨頭蓋異形成症の症例を、咀嚼筋の筋機能分析に応用し各咀嚼筋の顎機能とりわけ顎運動に対する作用を明らかにすること、つまり、咬筋の顎運動に対する作用、咬筋機能低下に伴う他の咀嚼筋の代償作用、および各咀嚼筋の下顎骨に対する運動力学的影響を明らかにすることを研究目的とした。 2.被験者 鎖骨頭蓋異形成症患者を被験者とし、性別・年齢の一致した正常有歯顎者を対照群の被験者とした。なお、被験者には研究の目的・方法を説明し、同意を得たうえで行った。 3.結果 (1)顎顔面領域の骨形態の特徴 パノラマX線写真および3DCTより、鎖骨頭蓋異形成症患者では頬骨の形成不全のため頬骨弓が不連続であること、下顎骨上行枝前縁と後縁が平行で筋突起が上方あるいは後方を向いた特徴的な形態を呈することが確認された。 (2)咬筋の大きさ CT画像上で咬筋の最大筋幅を測定し対照群と比較したところ、本疾患の症例はすべて対照群の平均±2SDの範囲には含まれず、より小さい値を示し、咬筋が小さいことが証明された。一般に咀嚼筋の大きさと筋活動つまり筋力の大きさは相関することより、咬筋幅が小さいことは咬筋の筋力が小さいことを表すと考えられた。 (3)筋活動 両側の咬筋、側頭筋前部・中後部を被験筋として表面筋電図を記録した。その結果、両側咬みしめ時、咬筋の筋放電は弱く側頭筋中後部の筋放電が強かった。 4.まとめ 本疾患では頬骨弓の不連続という疾患の特徴に起因し、咬筋の形態は小さく筋機能も小さいこと、その代償のため側頭筋の機能変化が生じさらに骨形態の変化を伴い特徴的な下顎骨形態を示すことが不唆された。 本研究では、咬筋機能の低下している疾患を咀嚼機能の解明に応用することによって、咬筋機能低下時に側頭筋がその代償として機能することが明らかにされた。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] 古内 壽 他: "鎖骨頭蓋異形成症の顎顔面骨および咬筋にみられる形態的特徴"歯科放射線. (発表予定). (2002)
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[Publications] 渡辺 誠 他: "歯と摂食障害"老年医学. 39(2). 213-217 (2001)
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[Publications] 岩松 正明 他: "三次元咬合力に基づく側頭筋機能に関する研究"日本補綴歯科学会雑誌. 44(4). 486-498 (2000)