2001 Fiscal Year Annual Research Report
各種砥粒で鏡面研磨したチタン表面の化学的微細構造の安定性と吸着性
Project/Area Number |
12671876
|
Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
宮川 修 新潟大学, 大学院・医歯学総合研究科, 教授 (40018429)
|
Keywords | チタン / 研磨面 / 汚染 / 酸化膜 / 砥粒 / 酸化クロム / X線光電子分光 / 電子線マイクロアナライザー |
Research Abstract |
酸化クロム泥を用いた場合,研磨キズのない滑択面を得ることは容易でなく,特に強圧研磨では,研磨キズが残って微細な凹凸もでき,SE像で見ると特徴的な模様として観察された.酸化クロムはシリカより硬いし,しかも,本実験に関する限り,前者の粒径(0.5μm)が後者のそれ(0.04μm)の約10倍大きいことも影響したと考えられる. 低圧の研磨では,研磨面からのCrKα強度はほぽバックグラウンドレベルであったが,OKαのそれはコロイダルシリカ懸濁液の場合と比較して全体的にレベルがほんの少し高かった.いっぽう,強圧研磨の場合は,Crと酸素が顕著な不均一性分布を示した.研磨面がCrによって汚染され,酸素濃度は平均レベルが非常に高くて大きな変動をともなった.これに符合するかのように,あたかも陽極酸化されたがごとくに,研磨面は淡い褐色または黄金色を呈していた. 強圧研磨面のTi2p3/2ピークのシフトを見ると,700secのエッチング後でもTiO2ピークがまだ名残をとどめており,金属チタンのピークがようやく現れ始めた段階である.このエッチング深さをシリカで大雑把に推定すると0.15μm程度である.通常,チタン表面の酸化膜厚さは数nmと言われているが,このデータは研磨によって酸化皮膜がおよそ数百nmにまで厚くなったことを示唆する.このXPSの分析結果はEPMA分析で明らかになったOKα強度の顕著な増加とよく符合した.Cr2p3/2ピークシフトによると,最表面のCrは3価の水酸化物としても存在し,表面より内部では金属クロムとして存在する可能性も示唆された. タンパク質を加えた擬似体液に浸漬した場合,酸化クロムで強圧研磨した面にCaとPが多く存在した.これは酸化皮膜の厚さの増加に対応して興味深い.逆に窒素はコロイダルシリカ研磨面に多く,吸着タンパク質の層が厚いことを示唆した.
|
Research Products
(1 results)