2001 Fiscal Year Annual Research Report
ガラス短繊維粉末を用いた歯科材料の強化に関する研究―高強度歯科用セメントの開発―
Project/Area Number |
12671889
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
河野 文昭 徳島大学, 歯学部・附属病院, 講師 (60195120)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
柏原 稔也 徳島大学, 歯学部・附属病院, 助手 (90274232)
岡 謙次 徳島大学, 歯学部, 助手 (40253215)
今 政幸 徳島大学, 歯学部, 助手 (80116813)
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Keywords | グラスアイオノマーセメント / ガラス短繊維 / CPSA / 微小引張り強さ / マイクロビッカース硬さ / 皮膜厚さ |
Research Abstract |
グラスアイオノマーセメントに添加したCPSAガラス短繊維の含有量が微小引張り強さ,ビッカース硬さ,セメント皮膜厚さに及ぼす影響について検討した.その結果,微小引張り強さは,0wt%で11.4MPa,20wt%で18.5MPa,50wt%で25.4MPaであり,ガラス短繊維の含有量に比例して有意に増加した.SEMによる破断面の観察で,ガラス繊維の突出は見受けられず,ガラス繊維の引き抜け現象が確認された.これは,ガラス繊維がセメント内で異方向性に分散しているためと考えられた.また,グラスアイオノマーセメントの液成分であるポリアクリル酸ゲルが化学的にガラス繊維と接着しているため,グラスアイオノマーセメントに対する強化効果が認められたものと推察された.ビッカース硬さは,ガラス添加量に関係なくほぼ385Hvの値を示したが,含有しない試料と50wt%含有試料では,統計学的に有意の差が認められた.試料表面にガラス繊維が存在しないため,硬さに及ぼす影響は小さかったと考えられた.セメント皮膜厚さは,0wt%で18.9μm,20wt%で28.3μm,50wt%で70.8μmであり,ガラス短繊維の含有量の増加とともに増加した.これは,添加量が増加するに従いガラス繊維が重なり合い皮膜厚さが増加したものと考えられた. 以上のことから,グラスアイオノマーセメントと本研究で用いたガラス短繊維を用いて複合化することによって,マトリックス相と分散繊維によって機械的強度が向上した.このメカニズムは,分散したガラス繊維の亀裂の進展の抑制効果と考えられた.しかし,ガラス含有量が多くなると機械的強度が増す反面,セメント皮膜厚さが厚くなった.JIS規格では25μmに規定されており,20wt%以下でないとこの規格を満たすことができないことがわかった.
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