Research Abstract |
自覚的,他覚的にほぼ健全な平均年齢71.5歳の高齢有歯顎群5名(女性2名,男性3名)と,25.3歳の青年有歯顎群9名(女性3名,男性6名)に対し,1.3Hzと0.3Hzの定頻度音信号負荷下顎タッピング,最頻値1.3Hzランダム音信号負荷下顎タッピング運動を行わせ,負荷音信号,MKG,咬筋表面筋電図を同時記録した.以下,ランダム信号負荷時の過剰タッピング(誤試行)における観察結果を述べる.1.全過剰タッピング数は,高齢者群が青年群より多い傾向にあった.その中でも,同周期の音信号が多く連続した方が,過剰タッピング出現頻度が高い傾向にあった.また,これら過剰タッピング出現率は,1.3Hzや0.3Hz定頻度音信号を負荷した時よりも青年高齢両群で差が大きい傾向にあった.2.1.3Hz同周期音信号連続後の過剰タッピングでは,高齢者群で,直前試行の歯牙接触時点〜過剰タッピング歯牙接触時点間時間が,平均74.8msec.過剰タッピングの予測信号負荷時点〜Mm burst onsetが平均2.4msecであり,青年群では,順に平均72.6msec,平均-0.1msecであった.3.(2×1.3)Hz同周期音信号連続時の過剰タッピングは,ほぼ音信号負荷途中に出現しており,高齢者群で,直前試行の歯牙接触時点〜過剰タッピング歯牙接触時点間時間が,平均81.1msec,過剰タッピングの予測信号負荷時点(1.3Hz間隔)〜Mm burst onsetが平均16.7msecであり,青年群では,順に平均85.3msec,平均5.6msecであった.これらより両群ともに,1.3Hzの2倍の周期の音信号が連続しても,前試行からの周期1.3Hz分を予測してタッピングしていることが窺えた.今後,誤試行後の立ち直りの様相,高齢青年両群の違いについて観察する予定である.
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