2000 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
12671910
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Research Institution | Tsurumi University |
Principal Investigator |
尾口 仁志 鶴見大学, 歯学部, 講師 (40169256)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
森戸 光彦 鶴見大学, 歯学部, 教授 (30089429)
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Keywords | ヒト歯肉細胞 / ヒドロキシアパタイト / TEM / SEM / IN VITRO |
Research Abstract |
〔目的〕我々は,ヒト歯肉上皮細胞(HGE)を用いて各種生体材料との生体親和性を検討している.今回,アドバンス社よりヒドロキシアパタイトの結晶性を向上させたコーティング材料が開発された.表面構造は針状結晶となっており他生体材料にない特殊性を示している.本研究の目的は本材料のin vitroでの反応を検索することにある.〔材料および方法〕溶射原料粉末としてβ-TCP粉末(60μm以下)を用いた。この溶射原料粉末をメテコ社製プラズマ溶射装置(MNシステム)にてチタン基盤に溶射した。得られたα-TCPコーティング-チタンサンプルを耐熱滅菌瓶の中に入れ、これに水熱処理水溶液を加えて密閉し、水熱処理を施した。水熱処理の条件は120℃、20時間以上である。また、水熱処理水溶液の目的はコーティング層からのリンとカルシウムの溶出防止、水熱処理効果の促進である。本材を用いHGEとの反応を2時間,24時間in vitroにて培養し,SEM,TEMにて観察を行なった.対照としては表面平滑なチタンを用いた.成果〕培養2時間において,チタン(対照)と比較し明らかに接着細胞数が多くさらに上皮様形態への変化を示した.また,24時間では対照と同じように全面が多角形の上皮様形態の細胞により被われていた.TEMでは,針状形態に沿って細胞が接着しており,平坦な部分でも同様に認められた.〔考察及び展望〕本材料は,従来のHAコーティングとは異なりTCPを溶射しその後に水熱処理により結晶性を向上させた材料である.すでに本材料を使用したインプラントは歯科領域で多様されているが,開発担当者と検討し針状結晶をさらに多くの部位で示すように改良したものである.SEM所見より,針状結晶形状は細胞の初期接着に有利に作用すること,TEM写真はかかげていないが細胞は針状結晶に沿うように接着しており,これらの所見を総合すると細胞の接着性に関し有利な表面構造を示していることが示唆された結果と考察している.このような所見は現在まで報告されていない.本点を含め,今後細胞初期接着の解明を行なう予定である.
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