2001 Fiscal Year Annual Research Report
Nrf2遺伝子ノックアウトマウスを用いた口腔病変のストレス応答の解析
Project/Area Number |
12671924
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
柳川 徹 筑波大学, 臨床医学系, 講師 (10312852)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石井 哲郎 筑波大学, 基礎医学系, 助教授 (20111370)
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Keywords | Nrf2 / 鉄イオン / フェリチン / 酸化ストレス |
Research Abstract |
前年度までに基礎的実験を終了し、hemeoxygenase、peroxireoxin MSP23、A170などの酸化ストレスタンパク質がNrf2遺伝子制御下にあることを確認し、また、Nrf2遺伝子ノックアウトマウスのフェノタイプが歯の色調の変化であることを発見した。本年度は口腔病変の解析のためにマウスエナメル表面の色調の変化を中心にメカニズムの解明をおこなった。そのため、まず、電子顕微鏡的観察をおこなった。エタノール固定したマウスの上顎を臨界点凝結し、走査電子顕微鏡をもちいて観察をおこない、表面の構造の変化を観察したところ、Nrf2ホモ、ヘテロ、のノックアウトマウスおよびワイルドタイプマウスいずれも異常は見られなかった。しかし、エネルギー分散型マイクロX線分析で、カルシウム、リン、鉄の元素を分析し定量をおこなったところ、カルシウムやリンの量には異常がなかったが、ホモタイプ歯質表面のでは鉄の量がすくないことがわかった。これらのことから、Nrf2の口腔病変として現れる歯の色調の変化は鉄が関与しているものと推定された。鉄はフェリチンによって体内で無毒化され、貯蔵、排泄にかかわることが知られているため、フェリチンの動態を観察することによって口腔における病変の原因を探ることを試み、マウス上顎切片に対して、LsAB法をもちいてフェリチンの免疫染色をおこない、フェリチンの局在を観察したところ、ワイルドタイプマウスのエナメル質形成の途中で発現しているフェリチンが、ホモタイプのマウスでは途中で消失していることがわかった。これらにより、Nrf2遺伝子が口腔病変におよぼす影響は、鉄の代謝もしくは輸送の異常であることが示唆された。
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