Research Abstract |
1.HPV16DNAの組織での発現 正常粘膜,上皮異形成症(ED),口腔扁平上皮癌(OSCC)における陽性率は,各37%,60%,34%であり,EDとOSCC群では陽性率に統計学的有意差が認められた。特に,経過観察中に癌化した例の陽性率は22例中18例(82%)であり,非癌化例での陽性率29例中13例(45%)との間に有意差を認めた。また,3群共に若年者では陰性率が高かったが,性,部位,異型性,分化度により陽性率に有意差は認められなかった。OSCCの視診型分類では,白斑型(9/15例)は潰瘍型(6/32例)に比べて陽性率が有意に高かったが,他の型との有意差はなかった。6例のリンパ節転移例で,原発巣では2例陽性であったが,転移巣では全例陰性であった。多発癌では,7例中3例,また,多発癌の疑われた3例では全例が陽性であり,同一患者では時期に関係なく常に陽性であった。 EDからの癌化例では,EDと癌でともに陽性は16例,ともに陰性は4例,EDは陽性で癌化後に陰性を示したものは2例,EDが陰性で癌化後か陽性であった例はなかった。 2.HPV18と33DNAの組織での発現 HPV33は検出されなかったが,HPV18は多発癌の2例で検出された。この2例では,HPV16と18は,ともに組織採取時期には関係なく,常に陽性であった。 3.OSCC由来培養細胞におけるHPV16,18,33DNAの発現 検索した9株で,どのタイプのHPVも検出されなかった。
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