2000 Fiscal Year Annual Research Report
口腔癌における抗癌剤(5-FU,CDDP)のサイトカイン誘導とその抗腫瘍効果
Project/Area Number |
12671942
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
岡本 正人 徳島大学, 歯学部, 助手 (10243718)
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Keywords | 5-FU / CDDP / Th1サイトカイン / キラー細胞活性 / NK細胞 / 抗腫瘍活性 |
Research Abstract |
元来細胞毒と考えられてきた抗癌剤が、比較的低濃度において、免疫賦活作用を発揮する事を証明し、患者の免疫能を低下させない新しい抗癌剤の投与法を確立する事を目的とし、まず初年度は、ヒト末梢血単核球(PBMC)を用いたin vitro実験系にて、抗癌剤5-フルオロウラシル(FU)およびシスプラチン(CDDP)のサイトカインならびにキラー細胞活性誘導能の検索を行った。PBMCを5FU(0-5ug/ml)あるいはCDDP(0-1ug/ml)存在下にて、24時間培養後、上清中のサイトカイン濃度を検索したところ、両抗癌剤で刺激されたPBMCにおいて、抗腫瘍免疫において極めて重要な働きをしているといわれているIFN-γ,TNF-α,TNF-β,IL-12およびIL-18の、いわゆるTh1サイトカインの産生増強が認められた。そのピークは5-FUにおいて1ug/ml、CDDPにおいて0.1ug/mlの濃度であった。刺激されたPBMCの癌細胞障害活性(NK細胞活性およびLAK細胞活性)を^<51>Cr遊出法にて検索したところ、両活性ともに5-FUあるいはCDDP処理によって有為に増強された。サイトカイン誘導活性ならびに癌細胞障害活性にどのリンパ球亜群が関与しているかを検索するため、PBMCを抗CD3抗体あるいは抗asialoGM1抗体で前処理後、抗癌剤処理を行ったところ、抗asialoGM1抗体処理により、抗癌剤処理PBMCのサイトカイン誘導ならびに癌細胞障害活性はほぼ完全に中和された事から、5-FUあるいはCDDPの免疫増強作用にはT細胞よりもむしろNK細胞が重要な働きをしている事が明かとなった。さらにヒト唾液腺癌細胞を移植されたヌードマウスにおいて、5-FU 400ugあるいはCDDP 200ug投与により、マウスの生存日数は有為に延長するがこの時、マウス血清中のTh1サイトカイン濃度ならびに脾細胞のキラー活性の有意な上昇を認めた。この時マウスの体重減少等の明らかな副作用は認められなかった。さらに、同時に抗asialoGM1抗体を投与し、マウス中のNK細胞を除去したところ、5-FUおよびCDDPによる生存日数延長効果は有意に抑制された。すなわち、今回の副作用のない投与量における5-FUおよびCDDPの抗腫瘍効果においてNK細胞を介した宿主免疫能が重要な役割を演じている事が明かとなった。来年度は、T細胞機能の欠如したヌードマウスだけではなく、正常マウスにおいて5-FUおよびCDDPの抗腫瘍効果と宿主免疫能の関係についても検索してゆくとともに、これらの抗癌剤を投与された患者において、サイトカインあるいはキラー細胞の誘導につき検索してゆき、さらに抗癌剤による抗腫瘍免疫活性化と治療効果、予後との関係につき検討する予定である。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] Okamoto,M., et.al.: "Cytokine-inducing activity and Anti tumor effect of a Liposome-incorporated Interferon -γ-inducing Molecule derived from OK-432, a Streptococcal preparation"J.Immunother.. 23(1). 94-103 (2000)
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[Publications] Okamoto,M., et.al.: "Induction of Th1-type Cytokines by lipoterchoic acid-related preparation isolated from OK-432, a penicillin-killed streptococcalagent."Immunopharmacal.. 49. 363-376 (2000)
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[Publications] Okamoto,M., et.al.: "Induction of cytokines and killer cell activeties by cisplatin and 5-fluorouracil in head and neck cancer patients."Anti-Cancer Drugs. 11. 165-173 (2000)
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[Publications] Okamoto,M., et.al.: "Purification and characterization of cytokine-inducing protein of seed extract from Aeginetia indica L, a parasitic plant"Immunopharmacal.. 49. 377-389 (2000)
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[Publications] Okamoto,M., et.al.: "Mechanism for bone invasion of Oral Cancer Cells Mediated by interleukin -6 in vitro and in vivo."Cancer. 89. 1966-1975 (2000)