2000 Fiscal Year Annual Research Report
骨形成過程の顎矯正力による制御に関する分子・細胞生物学的研究
Project/Area Number |
12671987
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
須佐美 隆史 東京大学, 医学部・附属病院, 助教授 (80179184)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
引地 尚子 東京大学, 医学部・附属病院分院, 講師 (50292876)
川口 浩 東京大学, 医学部・附属病院, 講師 (40282660)
高戸 毅 東京大学, 医学部・附属病院, 教授 (90171454)
|
Keywords | 下顎骨 / 骨延長 / 顎矯正力 / ラット / 組織学 / 生化学 |
Research Abstract |
平成12年度は、floating bone conceptに基づく仮骨延長法のモデル実験系の作成を試みた。すなわち、生後7週のラットを用い、臼歯部下顎骨体部において骨切りを行い、下顎骨の延長を行うことを試みた。延長装置は、ステンレススチール製の直径0.6mmのネジとそれに適合するナットを歯科矯正用バンド材料に電気溶接することにより作成した。延長装置のラット下顎骨への装着は、0.25mm歯科矯正用結紮線により結びつけることにより行った。延長は一日0.5mm、8日間行ない、この間歯科用X線フィルムを用いて、骨新生過程を観察した。また、延長開始時、延長終了時、延長終了後2週間、1カ月において、延長部近傍組織を摘出、ホルマリン固定、急速脱灰したのちへマトキシリン-エオジン染色、トルイジンブルー染色により観察した。また、一部組織は、平成13年度に行う生化学的検索用試料として凍結保存した。このほか、生後1週に片側下顎頭を切除して、片側性小下顎症ラットを作ることも試みた。 こうした実験の結果、ラットの下顎骨は延長され、組織学的検索により骨新生が認められ、本実験モデルの有用性が示された。しかし、いまだ延長装置がラットに対して大きく、ラットが装置をはずそうとするため、しばしば装置の破損が生じた。従って、安定した実験結果を得るには、さらに小さな延長器の開発が必要と考えられた。一方、片側性小下顎症モデルの作成では、明らかに片側下顎骨の劣成長が認められ、切歯部がすれ違い咬合となった。現在、平成13年度に行う生化学的検索、すなわちコラーゲン、オステオポンチンなどの骨基質タンパクのmRNAの発現を検索する条件も併せて検討しているところである。
|