2002 Fiscal Year Annual Research Report
ラクトフェリンの歯周治療への応用に関する基礎的研究
Project/Area Number |
12672039
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Research Institution | Health Sciences University of Hokkaido |
Principal Investigator |
中島 啓介 北海道医療大学, 歯学部, 助教授 (80227785)
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Keywords | ラクトフェリン / 縁上プラーク / 縁下プラーク / エンドトキシン |
Research Abstract |
平成14年度では,(1)歯肉縁上・縁下プラーク中のラクトフェリン定量,(2)歯根面にけるエンドトキシンとラクトフェリンの分布について検討した。 (1)北海道医療大学歯学部附属病院にて歯周治療を行っている患者20名から,患者のプラークを実験に供するための承諾を得た。滅菌したスケーラーを使用して縁上・縁下のプラークを採取し,あらかじめ用意しておいたマイクロチューブ内のPBSに懸濁した。遠心操作後,上清を採取しタンパク定量,サンドイッチELISA法によるラクトフェリン定量を行った。サンプル中のタンパク量によってラクトフェリン量を標準化した後にデータを解析した結果,縁上プラーク量と縁下プラーク量との間に有意差は認められなかった。しかし,縁上プラーク中のラクトフェリン量と縁下プラーク中のラクトフェリン量が有意に相関するという結果が得られた。この結果から,患者毎にプラーク中に含まれるラクトフェリン量が異なる可能性が考えられた。 (2)歯周治療において保存不可能と診断され抜歯された抜去歯について,根面表層に分布するラクトフェリンとエンドトキシンが歯根表層から深層までに均一に分布しているかどうかを調べるために,根面を表層から歯髄腔まで一定量ずつ切削し,その中に含まれるラクトフェリンとエンドトキシンを定量した。その結果,歯石付着部位では,表層から歯髄腔に向かうにつれてラクトフェリン量とエンドトキシン量は減少した。以上の結果から,エンドトキシンを含有している歯石付着部位にはラクトフェリンが含まれていて生体防御における重要な役割を果たしている可能性が明らかになった。
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