2000 Fiscal Year Annual Research Report
G-タンパク連結型レセプターアンタゴニストMartinelline類の全合成
Project/Area Number |
12672048
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
原 脩 千葉大学, 薬学部, 講師 (40222228)
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Keywords | Martinelline / 9-PBN / 分子内アリル位置換反応 / cross metathesis反応 / シリコン架橋閉環メタセシス反応 |
Research Abstract |
本年度はヒドロキシアントラニル酸を原料とし、Martinelline類の基本骨格となるピロロキノリン環の構築法の検討を行った。このピロロキノリン環上には不斉炭素が三つ連続して存在しており、いかにしてこれを選択性よく構築するかが鍵となる。当研究室ではこれまでに遷移金属を用いる不斉合成において重要である光学活性ホスフィン配位子9-PBNを開発しており、この配位子が不斉アリル位置換反応において有効であることを見出している。そこで分子内での不斉アリル位置換反応で光学活性体2-ビニルテトラヒドロイソキノリン環を合成したところ、最高94%eeの光学純度で目的物が得られた。次にMartinelline合成に必要な基質を用いてこの反応を行ったところ、収率42%、60%eeで目的物を得ることができ、さらなる配位子の検討で天然物合成が応用可能と考えられた。しかしながら、この鍵反応を行うにあたり原料から通算10工程を要し、しかもその過程で異性体の生成から低収率の工程を含んでいるめ、天然物合成においてこの点の改善が必要であった。そこでアリルアルコール部分を効率よく合成するため、cross metathesis反応を利用しところ、目的とする基質を短工程での合成できるものの収率が思わしくなかった。そこでアリルオキシクロロジフェニルシラン試薬を新たに合成し、シリル基を足がかりとする分子内閉環メタセシス反応を行ったところ、8員環生成にも関わらず86%の高収率で目的物が得られることが明らかとなった。この合成経路は工程数の削減はないものの異性体の生成などがなく通算収率を大幅の向上した。得られたイソキノリン環3位への側鎖導入は、Mannich反応、続くニトリル基の立体選択的な1,4-付加反応で必要な部分側鎖が完了した。また、2位ビニル基についてはヒドロホウ素化反応、C1単位の導入で側鎖の修飾が終わった。
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