2001 Fiscal Year Annual Research Report
メチレンビスホスホナートへの求電子剤付加を基盤とする高効率骨格構築不斉反応の開発
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12672053
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Research Institution | Kansai University |
Principal Investigator |
長岡 康夫 関西大学, 工学部, 助教授 (90243039)
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Keywords | ホスホナート / 環化反応 / アルケニルホスホナート / 不斉ホスフィン配位子 / ビニルアニオン / 共役付加反応 / 共役還元反応 |
Research Abstract |
本研究の目的はメチレンビスホスホナートを基盤とする炭素-炭素結合形成反応の開発である。私はすでにαβ不飽和アルケニルホスホナート(メチレンホスホナート)のLDA処理により生じるα位ビニルアニオンが非常に活性の高い求核剤となり、アルデヒドやケトンと反応してベイリスーヒルマン型の付加体を形成することを明らかにしている。この付加体はβ-ヒドロキシアルケニルホスホナートであり、適当な塩基処理によってアレンに変換できる。さらにビスアルケニルホスホナートをLDA処理すると前述のα位ビニルアニオンが分子内のマイケル受容体であるもう一方のアルケニルホスホナートに即座に捕捉されることにより環化体が効率良く生成することを明らかにしている。 これらの素反応を応用して、平成13年度はキラルホスフィンリガンドの合成に成功した。すなわち、酒石酸エステルを出発物質として、キラルなビスアルケニルホスホナートを合成し、これを基質としてLDAによる環化反応を行い環状ビスホスホナートを得た。この環化体の二重結合をジイミド還元した後、ホスホナートをトリクロロシランによりホスフインに還元した。以上の反応により得られたキラル環状ビスホスフインをN-アセチル-2-アミノ桂皮酸のロジウム触媒による不斉水素化反応にキラル配位子として適応したところ、100%収率、90%の鏡像体過剰率でN-アセチルフェニルアラニンを合成することに成功した。 現在、上記と異なる系統のキラルホスフイン配位子の合成が進行中である。有効な配位子の開発により、本研究課題の一つである、メチレンビスホスホナートの環化反応の有用性がさらに高まることを期待している。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] Kiyoshi Tomioka, Yoshito Shioya, Yasuo Nagaoka, Kenichi Yamada: "Electronic and Steric Control in Regioselective Addition Reaction of Organolithium Reagents with Enaldimines"J. Org. Chem.. 66・21. 7051-7054 (2001)
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[Publications] K.Tomioka, T.Sumiyoshi, S.Narui, Y.Nagaoka, A.Iida他4名: "Molecular Assembly and Gelating Behavior of Didodecanoylamides of α,ω-Alkylidenediamides"J. Am. Chem. Sci.. 123・47. 11817-11818 (2001)
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[Publications] Yasuo Nagaoka, Hideki Inoue, Nawal El-Kossi, Kiyoshi Tomioka: "Synthesis and Application of Chiral Bisphosphines through Lithiation-Conjugate Addition Tandem Cyclization of Chiral α,β,χ,ψ-Unsaturated Bisphosphine Oxide"Chem. Commun.. 2002・2. 122-123 (2002)
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[Publications] Hideki Inoue, Hiroshi Tsubouchi, Yasuo Nagaoka, Kiyoshi Tomioka: "Synthesis of Allenes by Double Horner-Wadsworth-Emmons Reaction"Tetrahedron. 58・1. 83-90 (2002)
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[Publications] 長岡康夫: "アルケニルホスホナートを基盤とする炭素-炭素結合形成反応の開発"薬学雑誌. 121・11. 771-779 (2001)