2000 Fiscal Year Annual Research Report
TNFαを標的とした海洋無脊椎動物由来新規生物応答調節剤の探索
Project/Area Number |
12672055
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
宮本 智文 九州大学, 大学院・薬学研究院, 助教授 (40182050)
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Keywords | 海洋無脊椎動物 / RAW264 / TNFα / Ircinia sp. / Ircinia fasciculata / グリコリピッド / ステロール関連化合物 |
Research Abstract |
九州近海で採取した86種の海洋無脊椎動物のエタノール抽出エキスについて、マウスマクロファージ様細胞RAW264に対するTNFαの産生促進及び産生抑制活性をELISAを用い検討した。その結果、TNFαの産生促進活性を有する海洋生物として海綿SP-35/99(Ircinia sp.)、SP-36/99(Ircinia fasciculata)を選定した。また、LPS刺激下でTNFαの産生抑制活性を有する海洋生物としてSP-40/99(ヒドロ虫類)を選定した。平成12年度、新たに採集した上記3種の海洋無脊椎動物について、まず、エタノール抽出を行い、次に、エーテル、ブタノールによる溶媒分画を行った。 SP-35の活性成分はブタノールに可溶であり、更にゲル濾過、シリカゲルカラムクロマトグラフィーによる分離を行い、TNFαの産生促進物質(35B3323:仮称)28.2mgを精製した。35B3323は各種スペクトルデータより、グリコリピッドと推定され、現在、構造解析中である。尚、35B3323は濃度依存的にRAW264に対しTNFαの産生を促進し、1μg/mlでポジティブコントロールのLPSと同等の活性を示した。また、SP-36の活性成分はエーテルに可溶であり、現在活性を指標に精製を行っている。SP-40のTNFα産生抑制成分はエーテル可溶であり、活性を指標に、ゲル濾過、順相、逆相カラムクロマトグラフィーで精製し、計3種の活性成分を得た。これら3種の構造については各種スペクトルデータより、共にステロールの関連化合物と推定され、現在詳細な構造を検討中である。 平成13年度は活性成分の構造決定を行うと同時に、マウス生体を用い、インビボでのTNFα産生促進、産生抑制活性を検討し、生物応答調節剤としての機能を検討する予定である。
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