2000 Fiscal Year Annual Research Report
生合成経路にヒントを得た、新合成ルートによるタキソールの全合成研究
Project/Area Number |
12672072
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
中田 雅久 早稲田大学, 理工学部, 教授 (50198131)
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Keywords | タキソール / 全合成研究 / 不斉全合成 / 生合成経路 / ピナコールカップリング |
Research Abstract |
タキソールの炭素骨格構築について、今年度は有機合成化学的興味から計画した合成ルート、短工程合成を目指して計画したルートを併せて検討した。 前者においては、すでに合成に成功しているタキソールC環部分の光学活性な合成中間体を出発物質とし、生合成ルートにヒントを得たC1-C15位での渡環反応によるタキソール炭素骨格構築を目指した。このルートではまずC9-C10位での閉環によって10員環を形成する必要があったので、対応するジアルデヒドを合成しピナコールカップリングによる10員環構築を行ったが収率は低かった。また、対応するシアノヒドリンの分子内アルキル化反応による閉環も検討した。しかし、予期した生成物は得られたものの、やはり収率は低かった。これらの結果からこのルートでのタキソール炭素骨格構築は構築の難しい10員環を経由するため現段階では極めて難しいと判断される。 後者においては、タキソールC環部分の合成に用いたものと同じ原料を用い、選択的エポキシ化、生合成ルートからヒントを得たルイス酸による閉環、二重結合の異性化を経てA環の合成ルートを確立した。次に、合成したA環を用い、まずモデル化合物とのカップリングを検討した。モデル化合物とのカップリングについては、A環をスルホン体に変換したものとC環モデル化合物とのカップリング、A環をアルデヒド体に変換したものとC環モデル化合物の有機リチウム化合物とのカップリングが好収率で進行することを確認した。また、C1-C2位間でのピナコールカップリングによる6-8-6の炭素骨格構築はTi(0)またはSmI_2を用いて行うと好収率で進行することを見出した。 以上の結果から、現在、後者ルートで合成したA環部分と光学活性なC環部分とのカップリング、C1-C2位間でのピナコールカップリングによるB環構築を検討中である。
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