Research Abstract |
交付申請書「研究目的・研究実施計画」本年度分,5項目のうちほぼ4項目が達成できた。 1.先にその初の合成に成功している含テルル7員複素環,1-ベンゾテルレピン類の反応性を検討し,このテルレピン類から1-ベンゾスタネピン類,1-ベンゾスチベピン類および1-ベンゾシレピン類への誘導に成功した。これは,当研究課題であるテルル原子を含む複素環の反応性の解明のひとつであり,テルル-リチウム交換反応を効率良く利用したものである。本法によりこれら7員複素環化合物の新しい合成ルートが開けた。 (Heterocycles,2000,52,49-53) 2.上記の1-ベンゾテルレピン類合成の展開のひとつとして,この手法を他の元素に応用して,ごく最近,新規なリング・システムである1-ベンゾスタネピン類の合成に成功した。そこで,その一般化を計るとともに,その反応性を検討した。その結果,スズ原子の大きな特徴であるスズ-金属交換反応を利用して,1-べンゾスチベピン類への変換を計るとともに新規な7員複素環である1-ベンゾボレピン類への変換にも成功し,その芳香属性についても言及した。 (J.Chem.Soc.,Perkin Trans.1,2000,1965-1969) 3.6員へテロ芳香族カチオンであるテルロピリリウム塩およびセレノピリリウム塩の化学解明にも着手し,1-ベンゾセレノピリリウム塩の簡便な一般合成法を見いだした。 (J.Chem.Res.(S),2000,569-571) 4.上記の知見を元に,本化合物の化学的反応性を解明すべく,求核剤との反応性を検討し,各種の置換セレノクロメン類の合成を行った。 (J.Chem.Res.(S),2000,572-575) 5.本申請研究課題の主要な部分およびこの数年間の成果をまとめ,以下の総説に概説した。 Rev.on Heteroatom Chemistry,2001,22,59-78.
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