2001 Fiscal Year Annual Research Report
上皮細胞増殖因子阻害剤、リベロマイシンAの全合成研究
Project/Area Number |
12672082
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Research Institution | RIKEN (The Institute of Physical and Chemical Reseach) |
Principal Investigator |
清水 猛 理化学研究所, 有機合成化学研究室, 副主任研究員 (80087569)
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Keywords | リベロマイシンA / 上皮増殖因子阻害剤 / 蛋白合成阻害剤 / 抗腫瘍剤 / 6,6-スピロアセタール / 不斉全合成 / サクシニル化 / 超高圧反応 |
Research Abstract |
上皮増殖因子(EGF-a)のシグナル伝達阻害剤として発見されたのがリベロマイシンA(1)である。1はまた原核細胞には作用せず、真核細胞に選択的な蛋白合成阻害剤としての活性も有している。1はaxial配置の18位三級水酸基にコハク酸が結合し、また19位にもaxial配置の不飽和カルボン酸を有する極めてユニークな構造を有している新規なポリケチド系抗生物質である。我々はすでにその三級サクシネート構築のために超高圧下酸無水物を用いる嵩高なアルコールのジカルボン酸モノエステルの合成法を開発し、また、新たに開発した試薬Cl_2AlNMe(OMe)によるラクトンからWeinreb amideへの効率的開環反応を基盤としたその基本骨格6,6-スピロアセタールシステムの立体選択的不斉合成に成功している。1999年に弱い活性を有する5,6-スピロアセタール、リベロマイシンB(2)の全合成に成功し、さらに2000年に我々の開発した上記の方法を応用し強力な活性を有する1の全合成に世界で初めて成功した。すなわち、6,6-スピロアセタールの改良大量合成に成功し、かつ18および19位にaxial配置の置換基を有している天然型6,6-スピロアセタールの選択的構築はMM2計算を有効に用いることにより成し遂げた。さらに、Horner-Emmons反応による立体選択的20位側鎖の構築およびJulia olefinationを鍵反応に用いる右側鎖の構築を行った後脱保護により1の全合成を完成した。 昨年度は天然リベロマイシンAの化学修飾および全合成で得た知見を元に種々の誘導体を合成し、src^<ts>-NRK細胞の形態正常化およびin vitro蛋白質合成阻害活性を調べ講造活性相関に付いて新たな知見を得た。また、カルボン酸、DCC-DMAPを超高圧下に用いるより強力なジカルボン酸モノエステルの合成法を開発した。
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Research Products
(1 results)