2001 Fiscal Year Annual Research Report
新たなPCRクローニングストラテジーに基づく真性粘菌・単細胞藻類の光受容体の解析
Project/Area Number |
12672087
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Research Institution | Toho University |
Principal Investigator |
高橋 哲郎 東邦大学, 薬学部, 教授 (90133769)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
渡辺 正勝 岡崎国立共同研究機構, 基礎生物学研究所, 助教授 (40124226)
上田 哲男 北海道大学, 電子科学研究所, 教授 (20113524)
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Keywords | 単細胞藻類 / クラミドモナス / 走光性 / 光受容体 / 眼点 / ロドプシン / Acop-1 / Acop-2 |
Research Abstract |
前年度に引き続き、主にクラミドモナスの光感覚受容体Acop-1についての研究を推進した。Acop-1の推定アミノ酸配列からエピトープとなる部分を予測しペプチド抗体を作成した。出来上がった抗体を用いて、 (1)異種細胞での発現実験 (2)間接蛍光抗体法による細胞内局在の確認 を試みた。(1)では酵母細胞(Pichia pastris)を用いたウェスタンブロットで、全長とみられる約62kDaのタンパク質の発現を確認したが、発現量はわずかであり、大腸菌細胞を用いた実験では確認できなかった。(2)については、富山大学理学部中村省吾博士の協力のもとにクラミドモナス細胞の眼点付近に局在することを確認できた。 また、生物分子工学研究所の藤博士との共同研究により、Acop-1の立体構造ホモロジーモデリングを行い、2番目の膜貫通ヘリックス(Bヘリックス)に多く存在する酸性残基が発色団を囲むポケットの外側すなわち膜脂質側を向いていることを明らかにした。このことはAcop-1単独では膜内に安定に存在できないことを示唆する。すなわちAcop-1のC末端側のペプチドが膜内に存在し(疎水性指標から推測すると考えにくいことだが)Bヘリックスの安定化に寄与しているか、あるいはAcop-1ペプチドは他の何らかのペプチドと複合体を作ることで膜内での存在を安定化していることが予想された。Acop-1をコードするDNA塩基配列はドイツのHegemannらも公表したが、我々は彼等より一ヶ月近く早く、しかもAcop-1のみならず、80%以上の相同性を示す別の光受容体Acop-2のDNA塩基配列も国際データベースへ登録している。以上の成果は本年5月にイタリアで開催されるゴードン会議「Photosensry Receptors & Signal Transduction」で発表の予定である。 基礎生物学研究所グループとの共同研究の大きな成果、ユーグレナ藻の光感覚受容体である光活性化アデニリルシクラーゼの仕事がまとめられてNature誌上に公表された。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Iseki, M., Matsunaga, S., ...Takahashi, T., ...Watanabe, M.: "A blue-light-activated adenylyl cyclase mediates photoavoidance in Euglena gracilis"Nature. 415. 1047-1051 (2002)
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[Publications] 伊関峰生, 高橋哲郎, 鈴木武士, 渡辺正勝: "山村正亮、長谷川宏司編「植物の運動の仕組み」 第9章、クラミドモナスとミドリムシの走光性"(株)大学教育出版(印刷中). (2002)