2002 Fiscal Year Annual Research Report
筋緊張と痛覚の制御におけるイミダゾリン受容体の役割について
Project/Area Number |
12672124
|
Research Institution | Graduate School, Nagoya City University |
Principal Investigator |
小野 秀樹 名古屋市立大学, 大学院・薬学研究科, 教授 (00080200)
|
Keywords | クロニジン / イミダゾリン受容体 / 鎮痛作用 |
Research Abstract |
クロニジンは脳幹部のα_2アドレナリン受容体へ働き血圧降下作用を示すが,α_2アドレナリン受容体以外の受容体であるイミダゾリン受容体へも結合することが明らかとなっている.イミダゾリン類であるチザニジンは中枢性の筋弛緩作用と鎮痛作用を示し,臨床では抗痙縮薬として用いられている.その作用機序は中枢のα_2アドレナリン受容体への作用と考えられてきた.本研究においては,チザニジンの筋弛緩作用および鎮痛作用におけるイミダゾリン受容体の関与の有無を調べ,運動系および痛覚系におけるイミダゾリン受容体の役割を明らかにすることを目的とした.平成12年度は運動系の緊張を定量的に評価する方法として,ラット脊髄反射電位を測定しチザニジンの反射抑制作用におけるイミダゾリン受容体の関与を研究した.平成13年度はチザニジンの中枢性筋弛緩作用において実際にイミダゾリン受容体が関与しているか否かをラットおよびマウスの筋弛緩作用を定量的に評価し研究した.本年度はクロニジンの鎮痛作用におけるイミダゾリン受容体の関与について,マウスを用いた鎮痛試験を行い研究した.熱および圧刺激に対する侵害受容閾値はクロニジンにより上昇した.熱刺激に対する鎮痛作用はα_2アドレナリン受容体に選択的なヨヒンビンによって部分的に拮抗され,α_2アドレナリンおよびイミダゾリン受容体に親和性を示すイダゾキサンとエファロキサンにより完全に拮抗された.イミダゾリン受容体サブタイプはI_1,I_2,I_3が存在するが,エファロキサンはI_1受容体,イダゾキサンはI_2受容体への親和性が高いと報告されている.エファロキサンはイダゾキサンよりも強い拮抗作用を示した.圧刺激に対する鎮痛作用はヨヒンビン,イダゾキサン,エファロキサンのいずれによっても拮抗された.したがって,マウスの熱侵害に対するクロニジンの鎮痛作用にはα_2アドレナリン受容体に加えてイミダゾリン受容体が関与することが示された.
|
Research Products
(1 results)