2001 Fiscal Year Annual Research Report
脳機能障害における産生誘導型GLP-1の役割の解明
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12672131
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Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
岡 淳一郎 東京理科大学, 薬学部, 教授 (40134613)
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Keywords | βアミロイド蛋白 / GLP-1 / 長期増強現象(LTP) / 海馬 / GA1 / MAPキナーゼ / 初代培養 / 神経突起伸長 |
Research Abstract |
1海馬スライス標本を用いた実験 前年度に引き続き、ラット海馬スライス(400μm厚)を用いて記憶形成の物理的裏付けであるシナプス可塑性へのβアミロイド蛋白の作用を調べ、GLP-1がどのように関与しているかを検討した。これまでに、内在性GLP-1がβアミロイド蛋白によるシナプス可塑性障害を仲介ないしは増悪すること、この作用にはcAMP系は関与していないことを報告している。今回は、βアミロイド蛋白細胞毒性との関連や末梢細胞でのGLP-1こよる活性化が報告されているp38MAPキナーゼの関与について検討した。P38MAPキナーゼ阻害薬SB203580はβアミロイド蛋白によるCA1野集合EPSPの長期増強現象の阻害を回復させた。薬液処理後の各スライスのリン酸化p38MAPキナーゼ含量はβアミロイド蛋白処理により増加し、GLP-1受容体拮抗薬exendin(5-39)同時処理で回復し、βアミロイド蛋白とGLP-1の相互作用にはMAPキナーゼ系が少なくとも一部は関与していることが示唆された。 2培養海馬神経細胞を用いた実験 ラット胎児の海馬では誕生後と異なり内在性GLP-1が常時産生されており、18日目の胎児から単離して培養した海馬神経細胞でも同様であること、細胞にはGLP-1受容体が存在することを見出した。さらに、GLP-1受容体拮抗薬exendin(5-39)を培地に添加すると、細胞生存率には影響せずに神経突起の伸長が抑制されること、この作用に細胞内cAMPおよびMAPキナーゼ系と開運する数種のリン酸化酵素の変動を伴うことが明らかとなった。同様の神経突起伸長抑制作用は大脳皮質細胞や脊髄細胞でもみられたことから、発生期の中枢神経系ではGLP-1は神経栄養因子として機能しており、成熟後の脳損傷時にも同様の機能を示す可能性が示唆される。
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Research Products
(1 results)
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[Publications] Hashimoto, M., Hossain, Md.S., Shimada, T., Sugioka, K., Yamasaki, H., Fujii, Y., Ishibashi, Y., Oka, I.-I., Shido, O.: "Docosahexaenoic acid provides protection from impairment of learning ability in Alzheimer's disease model rats"Journal of Neurochemistry. (in press). (2002)