2002 Fiscal Year Annual Research Report
ホスホリパーゼA_2活性に対するセラミドの制御機構に関する研究
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12672135
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Research Institution | Kyoto Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
佐藤 隆司 京都薬科大学, 薬学部, 教授 (40065917)
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Keywords | セラミド / スフィンゴミエリナーゼ / ホスホリパーゼA_2 / 酸化LDL / コレステロールエステル / 活性酸素種 / nuclear factor-κB / シクロオキシゲナーゼ-2 |
Research Abstract |
当該年度では,セラミドの動脈硬化や腎炎の発症や進展における役割を検索し,以下の成績を得た. 1.動脈硬化の発症原因としての,マクロファージの泡沫化に関わるコレステロールエステル(CE)産生へのセラミドの寄与を検索した.マクロファージ(RAW264.7細胞)を酸化低密度リポタンパク質(酸化LDL)で刺激した時のCE産生が,細胞質型PLA_2(cPLA_2)の阻害剤で抑制されること,この条件下でセラミドのde novo合成が促進され,この阻害でCE産生が部分的に抑制されることを示した.さらに,酸化LDL刺激下のCE産生がスフィンゴミエリナーゼ処理で増大し,膜リン脂質からの脂肪酸の遊離も促進された.これらの結果から,CE産生に必要な脂肪酸の供給にcPLA_2が関わること,さらにde novo合成されたセラミドが,cPLA_2の活性化の促進を介して酸化LDL刺激下でのCE産生を増大させ,マクロファージの泡沫化に寄与することが示唆された. 2.腎障害の発症原因となる,腎メサンギウム細胞におけるプロスタグランジンの過剰産生に関わる因子へのセラミドの影響を検索した.メサンギウム細胞をtumor necrosis factor α (TNFα)で刺激すると,セラミドの産生が増大したので,細胞をスフィンゴミエリナーゼで処理してTNFαで刺激すると,活性酸素種の産生や転写因子のnuclear factor-κB(NFκB)の活性化の促進とともに,cyclooxygenase-2 (Cox-2)の発現と分泌型PLA_2活性とが著明に増大した.さらに,活性酸素種の産生をN-acetylcysteineで抑制すると,分泌型PLA_2活性の増大も抑制された.これらの結果から,セラミドは活性酸素依存的にNFκBの活性化を促進させてCox-2と分泌型PLA_2の発現の増大を引き起こすことが判明し,プロスタグランジン産生の促進を介して腎炎の発症や進展に関わる可能性が示唆された.
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Research Products
(1 results)