2000 Fiscal Year Annual Research Report
扁形動物プラナリアを用いた脳障害モデルの作成およびその修復・再生機構の解析
Project/Area Number |
12672136
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Research Institution | Kyoto Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
北村 佳久 京都薬科大学, 薬学部・病態生理学, 助教授 (60195295)
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Keywords | 扁形動物 / プラナリア / 修復・再生 / アポトーシス / ミクログリア / アストロサイト / 脳障害モデル / パーキンソン病 |
Research Abstract |
扁形動物プラナリアは、最初に「脳」と呼べる集中神経系を獲得した生物である。また、プラナリアの神経には哺乳動物と同様、各種神経伝達物質を産生していることが知られている。ヒトを含め哺乳動物は多様に進化し、脳も複雑に構築され、機能・調節されている。このため、これらを直接解析すると本質がどこにあるのか区別できなくなることがある。そこで本年度は、ヒトにパーキンソン病様症状を引き起こすドパミン神経毒素MPTPを用い、プラナリアおよびマウス、さらにヒト神経芽細胞SH-SY5Y細胞における障害を比較検討した。マウスにMPTPを投与すると、黒質のチロシン水酸化酵素(TH)陽性神経細胞が脱落した。また、この時、α-シヌクレインおよびparkin陽性神経細胞も脱落することを見出した。プラナリアに1mM MPTPを投与すると数日後に、個体が溶解し、死に至った。一方、低濃度では個体の一部が溶解されるが、その後もとの正常個体に修復・再生された。MPTPによるプラナリアの個体死は、D2-ドパミン受容体アゴニストのタリペキソールおよびプラミペキソールにより完全に抑制された。また、カスパーゼ抑制薬によっても個体死は抑制された。ヒトSH-SY5Y細胞においてMPTP代謝産物のMPP^+による細胞死はDNA断片化を伴うアポトーシスであるが、この細胞死もタリペキソールおよびプラミペキソールにより部分的に抑制された。以上のことから、下等なプラナリアからヒトまで、ドパミン神経の細胞死に共通の機構が存在することが示唆された。今後、その詳細なメカニズムを解析していく予定である。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] Yoshihisa Kitamura et al.: "The parkinsonian models : Invertebrates to mammals."Japanese Journal of Pharmacology. 84・3. 237-243 (2000)
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[Publications] Kazuyuki Takata et al.: "Increase of Bcl-2 protein in neuronal dendritic process of cerebral cortex and hippocampus by talipexole and pramipexole, antiparkinsonian drugs."Brain Research. 872・1-2. 236-241 (2000)
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[Publications] Yoshihisa Kitamura et al.: "Interleukin-4-inhibited mRNA expression in mixed astrocyte and isolated rat microglail cultures."Journal of Neuroimmunology. 106・1-2. 95-104 (2000)
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[Publications] Yoshihisa Kitamura et al.: "Effects of 15-deoxy-Δ^<12,14> prostaglandin J_2 and interleukin-4 in Toll-like receptor-4-mutant glial cells."European Journal of Pharmacology. (印刷中). (2001)
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[Publications] Yoshihisa Kitamura et al.: "Decrease of tyrosine hydroxylase-, α-synuclein and parkin-positive neurons in the substantia nigra of MPTP-treated C57BL/6N mice."Biogenic Amines. (印刷中). (2001)
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[Publications] Yoshihisa Kitamura et al.: "Lipopolysaccharide-induced swaitch between retinoid receptor (RXR) α and glucocorticoid attenuated response gene (GARG)-16 messenger RNAs in cultured rat microglia."Journal of Neuroscience Research. (印刷中). (2001)