2001 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
12672140
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Research Institution | Mukogawa Women's University |
Principal Investigator |
中林 利克 武庫川女子大学, 薬学部, 教授 (30128665)
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Keywords | 細胞分化 / 骨芽細胞 / 脂肪細胞 / 振り分け機構 / 分化マーカー / 分化因子 |
Research Abstract |
SV40の温度感受性T抗原遺伝子を導入したトランスジェニックマウスの未分化間葉系細胞より分離されたTBR31-2は、増殖時と分化時の培養条件が異なる特色を持つため、増殖と分化の明確な区別が可能な細胞である。さらに、TBR31-2は増殖条件下では分化の方向性が決定されておらず、分化惹起物質の選択により骨芽細胞にも脂肪細胞にも分化の振り分けが起こる。そこで骨芽細胞および脂肪細胞への分化をそれぞれ惹起するBMPとトログリタゾンを用いて分化マーカーの発現をRT-PCR法で調べ次のような結果を得た。 (1)TBR31-2細胞培養時にBMPを培地に添加すると、骨芽細胞への分化を支配する転写調節因子であるCbfa1は経時的に増加したが対照と差は認められなかった。また、分化に伴い骨形成の分化マーカーである骨型アルカリ性ホスファターゼ、オステオカルシン、オステオポンチン、副甲状腺ホルモンレセプターやビタミンDレセプターは対照と比較して有意に増加し、骨芽細胞へと分化していることが示唆された。一方、脂肪細胞の転写調節因子であるPPARγや分化マーカーであるリポプロテインリパーゼやアジプシンは変化しなかった。 (2)培地にトログリタゾンを添加すると、対照に比較してPPARγ、リポプロテインリパーゼやアジプシンは有意に増加し、脂肪細胞への分化が進行していることが示された。しかし、骨芽細胞の転写調節因子であるCbfa1や分化マーカーである骨型アルカリ性ホスファターゼ、オステオカルシン、オステオポンチン、副甲状腺ホルモンレセプターやビタミンDレセプターは増加が確認できなかった。また、オイルレッド○染色により細胞内に油滴の蓄積が認められた。 このように、骨芽細胞および脂肪細胞への分化を惹起するBMPとトログリタゾンはTBR31-2細胞を骨芽細胞へも脂肪細胞へも分化させることが可能であることが確認された。
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