2000 Fiscal Year Annual Research Report
ポーリンを介したエネルギー代謝と細胞死制御の分子メカニズム
Project/Area Number |
12672153
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
篠原 康雄 徳島大学, 薬学部, 助教授 (60226157)
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Keywords | ポーリン / ヘキソキナーゼ / アポトーシス / ミトコンドリア / アニオンチャネル |
Research Abstract |
ミトコンドリア外膜のポーリンは、ミトコンドリア内外の溶質輸送を司ることによってエネルギー代謝を制御すると同時に、ミトコンドリアからのシトクロムcの放出を制御することによって、細胞の運命を制御している。これらのメカニズムを解明する目的で、ポーリンの構造と機能に関する基礎的な知見を得ておくことが重要であるので、本年度は、このような観点からの研究を行い、以下の知見を得ることに成功した。 1)脳やがん細胞などの糖代謝が活発な細胞では、解糖系の酵素であるヘキソキナーゼがミトコンドリアのポーリンに結合していることが知られている。しかし、正常な肝臓のミトコンドリアには、ヘキソキナーゼはほとんど結合しない。このことは、がん細胞と正常な細胞のミトコンドリアのポーリンに、質的もしくは量的な差異があることを意味している。そこで、がん細胞に発現したポーリンの構造解析を行い、これが正常細胞と同じであることを証明。がん細胞と正常な細胞のミトコンドリアで観察されるヘキソキナーゼの結合量の差が、これらに発現したポーリンの質的な差異ではなく、量的な差異によるものであろうことを明らかにした。 2)ポーリンは、基本的にミトコンドリアに存在するが、ミトコンドリア以外の膜系でも存在が知られているため、上述のような問題を解明する目的では、ミトコンドリアに存在するポーリンタンパク質の解析が必須である。そこで、ポーリンに対する抗体を調製し、ミトコンドリア膜に存在するポーリンの免疫学的解析を行った。その結果、ミトコンドリアには、30kDa程度と32kDa程度の2種のポーリン分子種が存在することを明らかにすることができた。現在、これらのタンパク質の更なる解析を進めている。
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Research Products
(11 results)
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[Publications] M.Hashimoto et al.: "Irreversible Extrusion of First Loop Facing the matrix of the Bovine Heart Mitochondrial ADP/ATP Carrier by Labeling the Cys^<56> Residue with the SH-Reagent Methanethiosulfonate^1."J.Biochem.. 127. 443-449 (2000)
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[Publications] T.Daikoku et al.: "Specific elevation of transcript levels of particular protein subtypes induced in brown adipose tissue by cold exposure"Biochim.Biophys.Acta. 1457. 263-272 (2000)
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[Publications] N.Yamazaki et al.: "Novel Expression of Equivocal Messages Containing Both Regions of Choline/Ethanolamine Kinase and Muscle Type Carnitine Palmitoyltransferase I"The Journal of Biological Chemistry. 275. 31739-31746 (2000)
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[Publications] Y.Shinohara et al.: "Characterization of porin isoforms expressed in tumor cells"Eur.J.Biochem.. 267. 6067-6073 (2000)
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[Publications] Y.Shinohara et al.: "Growth condition dependent synchronized changes in the transcript levels of type II. hexokinase and type 1 glucose transporter in tumor cells."Biochim.Biophys.Acta. 1499. 242-248 (2001)
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[Publications] E.Majima et al.: "Specific labeling of the bovine heart mitochondrial phosphate carrier with fluorescein-5-isothiocyanate : roles of Lys 185 and putative adenine nucleotide recognition site in phosphate transport"J.Biol.Chem.. (in press).
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[Publications] Yasuo Shinohara and Hiroshi Terada: "Uncouplers of Oxidative Phosphorylation : Activities and Physiological Significance. in Membrane Structure in Disease and Drug Therapy (G.D.Zimmer ed),"Marcel Dekker.New York. 2. 107-126 (2000)
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[Publications] Yasuo Shinohara and Hiroshi Terada: "Roles of hexokinase in aberrant sugar metabolism of tumor cells"Recent Res.Devel.Bioener.. 1. 1-8 (2000)
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[Publications] 篠原康雄: "がん細胞の糖代謝を特異的に担うヘキソキナーゼの同定とその機能解析"薬学雑誌. 120. 657-666 (2000)
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[Publications] 篠原康雄,梶本和昭,寺田弘: "タンパク質核酸の分離精製法、タンパク質の立体構造の予測と表示"廣川書店. 11 (2001)
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[Publications] 篠原康雄,日野真美,寺田弘: "タンパク質核酸の分離精製法、ペプチドの合成、分離分析とその応用"廣川書店. 15 (2001)