2001 Fiscal Year Annual Research Report
環境物質による経口免疫寛容の修飾と過剰免疫誘発の機構
Project/Area Number |
12672176
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Research Institution | Teikyo University |
Principal Investigator |
大沢 基保 帝京大学, 薬学部, 教授 (30129978)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高橋 和子 帝京大学, 薬学部, 助手 (90163245)
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Keywords | 免疫経口寛容 / オボアルブミン / マウス / フェナントレン / 抗体産生能 / サイトカイン |
Research Abstract |
本研究では、マウスにおける経口免疫寛容の化学物質による障害をモデルとして、化学物質による過剰な抗体産生誘発の機序を解明することを目的としている。本年度は、前年度確立したオボアルブミン(OVA)を抗原として用いたBALB/cマウスの経口免疫寛容モデル系を用いて、経口免疫寛容状態の抗体産生に対するディーゼル排気微粒子主成分のフェナントレンの影響とT細胞種の活性変動について検討し、抗体産生の異常誘発の機序を解析した。OVAに対する血中抗体はELISA法にて測定された。また、Th1、Th2細胞の活性への影響は、各細胞の制御されるOVA抗体のIgG2a、IgG1サブクラスの量、および各細胞の特異的産物であるIFN-γとIL-4のバランスから推定された。その結果は次の通りであった。(1)経口免疫寛容に対するフェナントレンの影響:OVAの経口投与直後にフェナントレンを腹腔内皮下すると、抑制状態の抗体産生のうち抗OVA-IgGと-IgG1は用量依存的に増加し抗OVA-IgG2は変化しなかったことから、Th2細胞の寛容を選択的に修飾することが示された。フェナントレンの高用量経口投与でも、抗OVA-IgGの産生増加傾向として免疫寛容の修飾効果が観察された。(2)フェナントレンの経口免疫寛容修飾の機序:T細胞の産生するサイトカインに注目してフェナントレンの効果を解析した。培養脾細胞を用いてフェナントレンの直接効果を調べた結果、IL-4に比べてIFN-γの産生が顕著に抑制された。一方、フェナントレンを腹腔内投与した経口免疫寛容マウスから得た培養脾細胞では、IFN-γの濃度が検出感度付近で極めて低いのに比し、IL-4の産生はフェナントレン投与群で増加した。これらのことから、フェナントレンはIFN-γの産生抑制を介してTh2細胞の寛容を阻害しIL-4の産生を誘導し、その結果Th2優位なアレルギー抗体の過剰産生を誘発する可能性が示唆された。
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Research Products
(1 results)
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[Publications] K.Takahashi, M.Ohsawa, H.Utsumi: "A simple bioassay for evaluating immunotoxic properties of chemicals by use of in vitro antibody production system"Journal of Health Science. 48(2)(in press). (2002)