2001 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
12672177
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Research Institution | Teikyo University |
Principal Investigator |
川島 光太郎 帝京大学, 薬学部, 教授 (20124993)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中島 正宏 帝京大学, 薬学部, 助手 (10338692)
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Keywords | 微小重力環境 / 骨芽細胞 / クリノスタット培養 / アルカリホスファターゼ / オステオカルシン / クメステロール類縁体(KCA-098) / 1α、25-(OH)_2D_3 |
Research Abstract |
研究代表者らは、擬似微小重力環境を造り出すことが知られているクリノスタット回転培養装置を用い、擬似微小重力の骨組織に対する影響と薬物の作用を調べている。 昨年度は、擬似微小重力環境は我々の予想に反し、骨芽細胞のアルカリホスファターゼ活性を促進することを明らかにした。本年度は、1、この促進作用の意味づけと薬物の作用を検討し、さらに2、骨芽細胞の重要な機能の一つであるオステオカルシン合成について検討した。 (1)48時間の擬似微小重力負荷では、アルカリホスファターゼ活性は昨年と同様に、対照に比し上昇した。しかし、24時間の比較的短時間の負荷では逆に対照に比し減少した。 (2)オステオカルシン合成は、擬似微小重力環境下ではその作用時間の長短(24時間、48時間)にかかわらず、対照より上昇した。 (3)なお、地上で骨芽細胞のアルカリホスファターゼ活性を促進することが知られているクメステロール類縁体(KCA-098)は、擬似微小重力環境下でもその活性を上昇させた。また、活性型ビタミンD_3(1α、25-(OH)_2D_3)も、擬似微小重力環境下でオステオカルシン合成を促進した。 オステオカルシンは、骨吸収を促進するといわれているので、以上の実験結果は、骨芽細胞は宇宙空間にさらされた時、骨形成能は一時的な減少でとどまりすぐ回復するが、オステオカルシン合成が継続的に促進されるため、骨組織で骨吸収が優位となり、結果として骨破壊が進行するものと考えられる。また、KCA-098、活性型ビタミンD_3は、宇宙空間の微小重力環境下でも、地上と同様な効果を示す薬物であることが示唆された。
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