2000 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
12672178
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
山中 健三 日本大学, 薬学部, 助教授 (50182572)
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Keywords | 無機砒素 / ジメチル砒素 / 8-OHdG / ジメチル砒素過酸化ラジカル |
Research Abstract |
本研究の目的は砒素発癌の皮膚ならびに肺組織特異性を明らかにする一環として、無機砒素から代謝生成するジメチル砒素過酸化ラジカル等の酸素ラジカルの組織特異的生成機構を解明する点にある。本年度はマウスを用いたin vitro実験で、酸素ラジカルによるDNA酸化的損傷のマーカーである8-OHdGの生成を指標にして、ジメチル砒素による組織特異的なDNA損傷誘発性を検討するとともに、この酸化的損傷誘発の組織特異性機構を解明するため、ジメチル砒素と生体成分との結合性を光化学的な手法により検討した。以下、得られた結果の概要を示す。 1.マウス発癌実験モデル系でのジメチル砒素投与による各組織での8-OHdG生成をHPLCまたは免疫組織化学的手法により検討した結果、砒素発癌標的組織である肺、皮膚および肝臓でのみ有意な生成増加が認められた。また、砒素曝露により生成したヒト皮膚癌組織でも、顕著な8-OHdGの生成増加が免疫組織化学的に確認された。 2.無機砒素およびジメチル砒素の低濃度投与によるDNA酸化的損傷誘発性を検討するため、尿中8-OHdG量を測定した結果、ジメチル砒素では投与量依存的に生成量の増加が認められたのに対して、無機砒素投与ではまったく認められず、砒素による遺伝子の酸化的損傷誘発は無機砒素によるものではなく、ジメチル砒素に起因するものと推定された。 3.ジメチル砒素過酸化ラジカルの砒素発癌標的組織での生成機構解明のため、3価ジメチル砒素とポルフィリンの化学結合を分光学的に解析した結果、2価鉄ポルフィリンへの結合が明らかになった。
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