2001 Fiscal Year Annual Research Report
環境化学物質によるマスト細胞からのケモカイン遊離機構の解析
Project/Area Number |
12672182
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Research Institution | National Institute of Health Sciences |
Principal Investigator |
手島 玲子 国立医薬品食品衛生研究所, 機能生化学部, 研究員 (50132882)
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Keywords | マスト細胞 / 環境化学物質 / ハイドロキシン / フタル酸エステル / ケモカイン / カルシウム応答 |
Research Abstract |
平成13年度の環境化学物質によるマスト細胞からのケモカイン遊離機構の解析に関する研究から、下記の知見が得られた。 (1)ラットがん化好塩基球(RBL-2H3)細胞、マウス骨髄由来肥満細胞を用い、細胞内カルシウム濃度上昇を促す抗酸化剤(DTBHQ)(10μM)によるケモカイン遺伝子を含む細胞内遺伝子発現につき、DNAチップを用いて網羅的に解析を行った。ケモカインMCP-1遺伝子の発現は、刺激後3時間でピークとなり、その他サイトカインとしては、IL-3,IL-9,IL-13遺伝子の発現が大きく変化した。MCP-1,IL-3のmRNAの産生の増加は、RT-PCR並びにTaqMan-PCRを用いる定量PCR法からも確認された。これら遺伝子の発現量は、IgE受容体の架橋形成(抗原刺激)に伴う場合よりも、大きく、DTBHQが、マスト細胞からのケモカイン等の産生を介して後期炎症を引き起こしうる可能性が示された。 (2)次いで、RBL-2H3細胞からのIgE受容体の架橋形成に伴う脱顆粒並びにMCP-1の産生への、フタル酸エステル類(DBP等)及び含窒素系農薬(CNP等)の影響を調べたが、いずれの化合物も、抗原刺激による脱顆粒並びにMCP-1産生の増強効果を有していた。これら環境化学物質の作用メカニズムについては、検討中であるが、フタル酸エステルについては、小胞体以外の細胞内カルシウムストアからカルシウムを動員し、細胞内カルシウム濃度を上昇させる可能性が考えられた。 これらのことより、種々のマスト細胞からのケモカイン(MCP-1)産生が、細胞内カルシウム濃度上昇を促す環境化学物質により促進されること、転写レベルでの活性化を伴っていることが明確に示され、マスト細胞の刺激に伴い遊離される後期炎症因子としての可能性が示された。
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Research Products
(1 results)