2000 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
12672183
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
福田 敬 東京大学, 大学院・医学系研究科, 助手 (40272421)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
武村 真治 国立公衆衛生院, 公衆衛生行政学部, 研究員 (50280756)
大森 正博 城西大学, 経済学部・経済学科, 助教授 (40286000)
|
Keywords | 競争 / 消費者行動 / 医療システム |
Research Abstract |
今年度は、日本および諸外国の文献を整理し、そのレビューから医療機関の競争についてのモデルおよび分析方法の検討を中心に行った。その結果、日本での競争を分析する際の検討課題が抽出された。まず、どの医療機関を扱うかが問題となる。米国の文献では、急性期病院のみを対象とするものが多いが、日本では、急性期・慢性期病院の区別が明確でなく、病院には様々な機能を持つものが含まれている。また中小規模の病院では、地域の診療所との間で競争している可能性もあり、病院の機能を整理して分析を行う必要があることが示唆された。次の課題は、競争をしていると考える地域である。米国の文献では、都市単位や人口集中度を用いてエリアを設定しているが、我が国では医療機関の機能別に、市区町村を基本として患者の出入りがある程度完結している地域を設定すべきであると思われた。さらに競争のモデルを設定する必要がある。文献では、病院の目的関数を利潤や効用の最大化を目的としたものがみられた。利潤を目的とする場合には病院の利潤のデータが必要であるが、日本では収集が困難である。そこで、モデルとしては、医療サービスを増やすことにより収入が増え、利潤が確保されるという仮定をおき、サービス量を目的として検討することが妥当と考えられた。サービス量を増やすには、外来患者数、病床利用率、処置数の増加が考えられるが、マーケットで競争することにより増加が可能なのは、消費者としての患者の主権が働きやすい外来患者数であると考えられる。 日本の統計資料では、厚生省の医療施設調査における医療機関の設備および患者数、主な医療機器の利用件数、また患者調査においては市区町村間の患者の移動のデータを用いて分析を行うことが可能であり、今年度から取り組みを始めた。来年度は医療機関の競争のモデルを用いて、実際のデータで分析を行い、競争の実態の把握と影響を考察する予定である。
|