2000 Fiscal Year Annual Research Report
乳癌手術による,夫婦のセクシュアリティの変容と影響要因
Project/Area Number |
12672186
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
高橋 都 東京大学, 大学院・医学系研究科, 助手 (20322042)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
東 靖宏 埼玉県立がんセンター病院, 副院長(研究職)
久田 満 東京女子医科大学, 看護学部, 助教授 (50211503)
甲斐 一郎 東京大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (30126023)
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Keywords | 乳癌 / 性機能障害 / 質的研究 / 半構造化面接 |
Research Abstract |
初年度は、当事者の視点から乳癌とセクシュアリティに関する現状を把握する目的で、乳がん患者への半構造化面接を実施した。 関東地区2病院の外科外来から21名の面接協力者を得て、一人あたり約1時間の半構造化面接を1〜3回実施した(総面接時間50時間)。面接は許可を得て録音し、逐語的テープおこしを経てGrounded Theory Approachの手順に従って内容分析を行った。 面接協力者の平均年齢42.2±7.5歳、手術から初回面接までの時間経過の中央値16.5ヶ月。臨床病期はStage I,IIを中心とし、2名に骨転移あり。術式は非定型的乳房切除術9名、乳房温存術8名などであった。全員が何らかの補助療法(放射線療法・化学療法・ホルモン療法)を受けていた。 術前に性的パートナーが存在した17名中16名が術後性行為を再開していた。再開した16名中13名は、性感の低下や性行為への消極化といった変化に言及した。性行為に変化を認めた13名中10名は何らかの対応を試みており、具体的には(1)パートナーに苦痛を訴えて配慮を求める、(2)医療従事者に相談する、(3)外科的乳房再建術の考慮、の3点が挙げられた。しかし相談を受けた医療従事者は性行為を続けるよう一方的に患者側の努力を促すにとどまり、詳細な聞き取りやパートナーも同席してのカウンセリングは一切行われていなかった。 性行為変化を問題視しない場合や、パートナーから十分な配慮と理解を得たケースでは、性行為に変化があってもカップルの深刻な危機には発展していなかった。一方、意思に反した性行為をパートナーに強要されたために別居・離婚に進展した例も認められた。 平成13年度以降は、女性乳癌患者とパートナーを対象にした質問紙調査を行い、患者の社会的・医学的背景と術後の性的適応との関係について考察を行っていく予定である。
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Research Products
(1 results)