2001 Fiscal Year Annual Research Report
乳癌手術による夫婦のセクシュアリティの変容と影響要因
Project/Area Number |
12672186
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
甲斐 一郎 東京大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (30126023)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
東 靖宏 埼玉県立がんセンター病院, 院長(研究職)
久田 満 東京女子医科大学, 看護学部, 教授 (50211503)
高橋 都 東京大学, 大学院・医学系研究科, 助手 (20322042)
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Keywords | 乳癌 / 性機能障害 / 質問紙調査 / 乳房再建術 |
Research Abstract |
平成13年度は、乳癌患者の性生活に対する外科医の意識を明らかにする目的で、全国の乳腺外科医対象の質問紙調査を実施し、結果を分析した。対象は日本乳癌学会認定医・専門医として登録されている外科医1313名である、平成13年8月に自記式質問紙を郵送し、有効回答率は50.3%であった。回答者の平均年齢は47.3(±7.3)歳。臨床経験は平均21.8(±7.4)年、96.2%は男性医師。 32.4%は患者か家族から性生活の相談を受けた経験があった。患者の性生活へのかかわりに関する設問に「非常に・ややそう思う」と答えた率は、「乳癌後の性生活について信頼できる情報が不足している」83.9%、「術後の性生活に関する相談にのることも外科医の仕事だ」59.2%、「患者さんと性生活の話をするのは居心地が悪い」30.1%、「基本的なセックスカウンセリングの研修を受けてみたい」42.3%などであった。臨床経験年数によって二群に分けて検討したところ、19年以下の外科医はセックスカウンセリング研修に興味があると回答する者が多かった(p<.01)。本調査では、当事者のボディ・イメージや性生活に関連する乳房再建術に関する質問項目も設けた。全体の70.9%に乳房再建術の実施(または紹介)経験があり、年間手術50件以上の施設(P<.001)、形成外科医がいる施設(P<.001)は有意に再建率が高かった。乳癌手術の説明の時点で68.7%は「乳房再建の適応があると思われる場合には」再建術の説明も加えていた。説明対象としては、若年者・未婚者・再発リスクが少ない患者などが上位にあげられた。 平成14年度は、乳癌患者対象のフォーカスグループディスカッションを実施し、性生活に関して患者が医療者にどのような支援を求めているのか、詳細に把握する予定である。患者の希望と今回の外科医の意識調査の乖離を検討し、臨床現場における患者のセクシュアリティ支援のあり方を具体的提言を行いたい。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] 高橋 都: "保健医療における質的研究-半構造化インタビューを用いた研究の実際"日本保健医療社会学会年報. 15. 105-114 (2000)
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[Publications] Miyako Takahashi: "Sexual dysfunction among Japanese breast cancer patients"Journal of Asian Sexology. 2. 153-157 (2001)
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[Publications] Miyako Takahashi: "Comparing social policies : Exploring new paradigms in Britain and Japan"Policy Press(in press).