2001 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
12672187
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Research Institution | KYOTO UNIVERSITY |
Principal Investigator |
福井 次矢 京都大学, 医学研究科, 教授 (50208930)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
浅井 篤 京都大学, 医学研究科, 助教授 (80283612)
小山 弘 京都大学, 医学研究科, 講師 (90273515)
新保 卓郎 京都大学, 医学研究科, 助教授 (10146582)
松井 邦彦 京都大学, 医学研究科, 助手 (80314201)
大西 基喜 関西国際空港検疫所, 検疫医官(研究員) (90314187)
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Keywords | 退院 / 社会的入院 / 迷信 / 質問紙票 / 総合診療 / 退院日決定プロセス |
Research Abstract |
本研究では、平成14年3月までに「退院日の決定に関する医師調査」と「退院日の決定に関する患者調査」の2種類の質問紙票調査を計画し、前者は解析まで終了し、後者は京都大学医の倫理委員会の承認を得る段階まで終了した。 「退院日の決定に関する医師調査」は、2001年度に132名の臨床医からの回答を得た。退院日決定プロセスに関する質問では、退院日の決定に際し、ほとんどの医師が患者側の意向を組み入れており、実際、患者側から退院延期の申し出があった場合の許容延期日数は、3日以内なら容認と回答したのが43名、7日以内なら容認が62名との結果を得た。 これらの結果は、我が国では患者側の社会的事情を退院日決定の判断に組み入れることは一般的なことであることを示唆し、我が国の平均在院日数が欧米に比べ、非常に長いことの理由のひとつに挙げられるものと推察できる。 通常・社会的入院では低いADL、高齢者、透析患者、精神疾患が注目されが、退院延期の依頼理由についての質問では、「迎えにくる家人の都合が悪い」、「迷信や縁起のために退院日を調整したい」、「医療保険の給付の関係」など、誰にでも生じうる理由も多くの臨床医が経験しており、これらも社会的入院の一端を担っているものと考えられた。 医療財政の困窮の中、社会的入院の抑制は重要な課題の一つである。ただ、本問題は、誰が"locus of control"を持つかと言う問題でもあり、患者・医師・看護士関係にも深く関係するため、単に早い退院を患者側に求めて済むような問題ではない。従って、今回行った研究のような医療社会的、文化的観点から検討する研究により、社会的入院の発生する土壌やプロセスを理解した上で、社会的入院の定義や分類を行い、定量的評価を継続していくことが必要不可欠であると結論する。
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