2001 Fiscal Year Annual Research Report
免疫抑制薬の中枢毒性発現におけるグリア細胞系一酸化窒素の役割
Project/Area Number |
12672218
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Research Institution | Fukuoka University |
Principal Investigator |
片岡 泰文 福岡大学, 薬学部, 教授 (70136513)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大石 了三 九州大学, 歯学部・付属病院, 教授 (90112325)
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Keywords | 免疫抑制薬 / シクロスポリン / タクロリムス / 中枢毒性 / 一酸化窒素 / グリア細胞 / 脳血管内皮細胞 / 血液脳関門 |
Research Abstract |
免疫抑制薬、cyclosporine A(CsA)およびtacrolimus(TCL)は、移植医療に不可欠な薬剤である。しかし、免疫抑制薬治療の問題点として腎、肝、中枢における有害作用があげられる。この中枢毒性回避法の設計に着手するため、脳グリア細胞の一酸化窒素(NO)に焦点を当て、中枢毒性発現機序を解明することを企てた。 (1)ラットのカオリン摂取行動は、薬物の催吐作用や制吐作用を評価する動物モデルとして有用である。そこで、CsAにより誘発されるラットのカオリン摂取に関する薬理学的特性を調べた。CsAを連続投与すると、カオリン摂取量が時間および用量に依存して増加した。抗ムスカリン薬、ヒスタミンHl受容体拮抗薬およびHl+ムスカリン受容体拮抗薬は、CsA誘発カオリン摂取を有意に抑制した。しかし、ドパミンD2受容体拮抗薬やセロトニン5HT3受容体拮抗薬は、抑制しなかった。(2)CsAは、中年女性に好発する慢性関節リウマチに適応される。そこで、更年期障害実験モデルを用いて、CsAの中枢作用を調べた。ラットの卵巣を摘出すると、CsAの連続投与による痙攣誘発作用およびGABA神経活性阻害作用が、著明に増強された。この増強効果は、エストラジオール補充により抑制された。 以上、免疫抑制薬の中枢性有害作用(悪心・嘔吐、痙攣)に関する基礎検討より、これらの対処法を築くために必要な実験証拠が提出された。CsA治療患者の悪心・嘔吐を軽減するためにスコポラミンやジフェンヒドラミンの投与が、有効かもしれない。また、更年期はCsAの中枢毒性の危険因子であり、これはエストロゲン補充療法により低下すると考えられる。中枢におけるムスカリン受容体、H1受容体、エストロゲン受容体の情報伝達系下流の一部にNOが位置しているが、CsAの作用との関連については今後の課題である。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] S.Dohgu, Y.Kataoka et al.: "Involvement of glial cells in cyclosporine-increased permeability of brain endothelial cells"Cellular and Molecular Neurobiology. 20. 781-786 (2000)
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[Publications] H.Ikesue, Y.Kataoka et al.: "Cyclosporine enhances α1-adrenoceptor-mediated nitric oxide production in C6 glioma cells"European Journal of Pharmacology. 407. 221-226 (2000)
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[Publications] K.Yamashita, Y.Kataoka et al.: "Involvement of glial endothelin/nitric oxide in delayed neuronal death of rat hippocampus after transient forebrain ischemia"Cellular and Molecular Neurobiology. 20. 541-551 (2000)
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[Publications] H.Shibaguchi, Y.Kataoka et al.: "Transient Hypoxia/Hypoglycemia Upregulates Endothelin B Receptors in Cultured Rat Astrocytes"GLIA. 31. 91-94 (2000)
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[Publications] K.Tominaga, Y.Kataoka et al.: "Overiectomy aggravates convulsions and hippocampal γ-aminobutyric acid inhibition induced by cyclosporin A in rats"European Journal of Pharmacology. 430. 243-249 (2001)
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[Publications] Y.Fujisaki, Y.Kataoka et al.: "Pharmacological characterization of cyclosporine A-induced kaolin intake in rats"Pharmacology, Biochemistry and Behavior. 70. 267-271 (2001)