2002 Fiscal Year Annual Research Report
脊髄内タキキニン受容体拮抗作用とオピオイド作用を併せ持つ新規鎮痛薬の創製
Project/Area Number |
12672235
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Research Institution | Daiichi College of Pharmaceutical Sciences |
Principal Investigator |
櫻田 司 第一薬科大学, 薬学部, 教授 (80124907)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
櫻田 誓 第一薬科大学, 薬学部, 助教授 (30279244)
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Keywords | サブスタンスP / NK_1受容体 / オビオイド受容体 / サブスタンスPアナログ / マウス脊髄シナプス膜標本 |
Research Abstract |
センダイドはサブスタンスP (<Arg>^^^1-<Pro>^^^2-<Lys>^^^3-<Pro>^^^4-<Gln>^^^5-<Gln>^^^6-<Phe>^^^7-<Phe>^^^8-<Gly>^^^9-<Leu>^^^<10>-<Met>^^^<11>NH_2)のC-末端フラグメントであるサブスタンスP (6-11)構造中にTyr、_D-Phe、_D-Hisを置換したものである。私達はセンダイド(Tyr-_D-Phe-Phe-_D-His-Leu-MetNH_2)の脊髄クモ膜下腔内(i.t.)投与が極めて低用量によりサブスタンスP誘発性疼痛関連行動(scratcning、biting、licking)を抑制することをすでに報告済みである。そこで、センダイドのニューロキニン-1 (NK_1)受容体およびオピオイド受容体(ミュー、デルタ受容体)に対する結合実験を試みた。 実験1)センダイドのマウス脊髄内NK_1受容体結合試験 マウス脊髄シナプス膜標本と[^3H]-サブスタンスPとの結合実験において、未標識のサブスタンスPは10-^<10>-10-^7Mの範囲内で濃度依存的に[^3H]-サブスタンスPとの結合を阻害し、Ki値は3.3±0.7nMであった。センダイドのKi値は0.004±0.001nMであり、未標識サブスタンスPよりも825倍強力な結合能を示した。 実験2)センダイドのマウス脊髄内ミューおよびデルタ受容体結合試験 マウス脊髄シナプス膜標本と[^3H]-DAMGOを用いたミュー受容体結合実験において、未標識のDAMGOは[^3H]-DAMGOとの結合を阻害し、そのKi値は0.95±0.08nMであった。センダイドのKi値は78.3±14.9nMであり、未標識DAMGOの約1/100の結合力であった。また[^3H]-[_D-Ala^2]-deltorphin IIを用いたデルタ受容体との結合実験において、未標識の[_D-Ala^2]-deltorphin IIは[^3H]-[_D-Ala^2]-deltorphin IIとの結合を阻害し、そのKi値は13.7nMであった。センダイドのKi値は220.0±45.4nMであり、未標識[_D-Ala^2]-deltorphin IIの約1/16の結合力であった。 以上の結果より、センダイドはマウス脊髄シナプス膜標本のNK_1受容体に強力な結合作用を示すが、オピオイド受容体のミューおよびデルタ受容体に対しては微弱な効果を示すにすぎなかった。したがって、センダイドはマウス脊髄内において、選択的NK_1受容体拮抗作用を有している可能性が示唆された。
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