2001 Fiscal Year Annual Research Report
パルスフィールドゲル電気泳動によるHelicobacter pyloriのゲノム解析
Project/Area Number |
12672253
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Research Institution | Showa University |
Principal Investigator |
陳 戈林 昭和大学, 医学部, 助手 (60266111)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
五味 邦英 昭和大学, 医学部, 教授 (60053980)
高木 康 昭和大学, 医学部, 助教授 (30138490)
福地 邦彦 昭和大学, 医学部, 助教授 (70181287)
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Keywords | Helicobacter pylori / パルスフィールドゲル電気泳動 / genotype / 除菌療法 |
Research Abstract |
本邦では2000年11月からHelicobacter pyloriの除菌治療が保険適応になった。当年度はE-test法により、H.pyloriのAmoxicillin(AMPC)、Clarithromycin(CAM)、Metronidazole(MNZ)3剤の除菌薬に対する感受性パターンを中心に検索を行った。今回、3系統の検体を使用した。(1)異なる患者から分離された68株。(2)除菌7症例の治療前後の胃前庭部からの1株ずつ計14株。(3)3症例の胃前庭部と胃体部大弯の2カ所からの6株。(1)の68株中に、AMPC耐性株(≧0.5μg/ml)が1株(1.5%);CAM耐性株(≧1μg/ml)が7株(10.3%);MNZ耐性株(≧8μg/ml)が5株(7.4%)であった。各薬剤に対する耐性化率は他施設の報告とほぼ一致した。(2)の7症例の除菌前後の株のうち、AMPC耐性株が認められず、CAMの一次耐性(除菌治療前に耐性である場合)が3症例で、二次耐性(除菌治療後に耐性になった場合)が4症例であり、MNZの一次耐性が1症例で、二次耐性が2症例であった。除菌失敗例の約半分が一次耐性であった。また、CAM、MNZの二次耐性であった1症例が、除菌前後のゲノム型が異なったため、再感染が疑われた。(3)の3症例のうち、2症例では2カ所の株が同じ感受性パターンを示したが、1症例の株では、2カ所の感受性パターンが異なっており、前庭部からの株が3剤とも感受性であったのに対し、大弯からの株がAMPC、MNZ耐性であった。除菌薬感受性の異なる、2クローン以上の重複感染が証明された。 本年度の検討の結果からも、パルスフィールドゲル電気泳動法によるゲノム型解析がHelicobacter pyloriの分子疫学解析、除菌療法の判定に有用であることが証明された。
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