2000 Fiscal Year Annual Research Report
膵癌早期診断のための血中アミリン濃度の特異性と感度の検討とアミリン測定法の改良
Project/Area Number |
12672260
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Research Institution | Fukuoka University |
Principal Investigator |
立石 カヨ子 福岡大学, 医学部, 助教授 (60179728)
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Keywords | 血中アミリン濃度 / 膵癌腫瘍マーカー / アミリン測定法 |
Research Abstract |
血中アミリンを高感度で精度よく測定するための測定系(RIA)を確立した。本測定法を用いて、健常人(n=22)、膵癌患者(n=30)、他の種々の癌患者(n=10)及び急性、慢性膵炎患者(各n=10)の血中アミリン濃度を測定した。膵癌患者の血中アミリン濃度(mean±SE)は7.13±0.93pMで健常人の血中アミリン濃度(4.01±0.26pM)に比較して、有意に高値を示した。しかし、膵ラ島癌や膵炎患者においても高値を示す症例が見られた。手術可能な時期での早期診断が極めて難しい膵癌の腫瘍マーカーとして、有用であるかどうかを判定するために、膵部門(Mayo Clinic,USA)を訪れた患者群を対象として測定した結果を膵癌(n=30)と非膵癌(n=44)に分けて解析した。検出感度は47%で特異性は73%であった。本RIAで用いた抗体と異なった抗原部位を認識する二つのモノクローナル抗体を用いた固相EIAを確立し、同じ検体を測定した。両測定法での結果の相関は高く(R=0.83)、このEIA法でも膵癌検出傾向は変わらなかった。現在一般に用いられているCA19-9の測定結果と組み合わせて,どちらかがcut off値以上であった場合を陽性とした分析結果では感度85%、特異性は63%であった。血中アミリンは膵癌の腫瘍マーカーとして期待されたが、単独では有力ではなく、他の検査との総合的な診断に用いられるべきと考えられた。一方、1-2年以内に糖尿病を発症した患者群に限れば、検出感度は上がると考えられた。 これまでのアミリン測定法には再現性の点で問題があるものが多かったが、本研究で確立した測定法は再現性に問題がなく、精度よく、アミリン研究(アミリンの膵B細胞障害機序の解析、Am J Pathol 157:2101,2000)に用いることが出来た。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Setsuya Sakagashira: "S20G mutant amylin exhibits increased in vitro amyloidogenicity and increased intracellular cytotoxicity compared to wild-type amylin"American Journal Pathology. 157・6. 2101-2109 (2000)
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[Publications] 立石カヨ子: "血漿アミリン(IAPP)濃度測定の膵癌診断への有用性"臨床化学. 29・Supp.2. 296 (2000)