2001 Fiscal Year Annual Research Report
中学校区における介護者セルフヘルプ・グループ活動の成果と住民の福祉意識の変化
Project/Area Number |
12672267
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
百瀬 由美子 信州大学, 医療技術短期大学部, 講師 (20262735)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大久保 功子 信州大学, 医療技術短期大学部, 助教授 (20194102)
麻原 きよみ 信州大学, 医療技術短期大学部, 教授 (80240795)
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Keywords | 介護者セルフヘルプ・グループ / 小地域単位 / 活動成果 |
Research Abstract |
【目的】松本市は、本年度までに全29地区の地区福祉ひろばにおいて「介護者の集い」(以下、「集い」と略す)が開催されるに至った。昨年度、介護者が特に小地域単位で実施される「集い」に参加することの意味を質的に分析し、介護者セルフヘルプ・グループの発展プロセスを記述した。本年度は、その結果に基づき質問紙を作成し、「集い」の参加者を対象に活動の成果を全市的規模で調査し、検討することを目的とした。 【対象と方法】本年度の調査対象は、松本市全市29地区の地区福祉ひろばの「集い」への参加者および不参加者である。方法は自記式質問紙法であり、質問内容は、全対象者には基本属性、サービス利用状況、介護負担感、介護に関する相談相手、希望する将来の介護形態、世間体スケールなどである。さらに参加者には、「集い」の満足度を、不参加者には「集い」の周知状況と参加しない理由を質問した。データ収集は、参加者については「集い」開催時に質問紙を配布し、郵送にて回収した。不参加者については、福祉ひろばの職員が配布し、郵送で回収した。分析は、SPSS Ver.10を用いて、単純集計、クロス集計、t検定を行った。 【結果および考察】質問紙は114名の介護者から回収された。対象者の平均年齢は67.9歳、性別は男性19名、女性93名。続柄は配偶者31名、嫁45名、実子21名、「集い」参加者は61名(53.5%)、不参加者は53名(46.5%)であった。 「集い」活動の成果:介護に関する悩みが話せる場ができた、新しい情報が得られた、介護者同士で話すことによって自分の状況はまだいいほうだと自分を納得させる機会ができたとの回答が多かった。次いで多かったのは、自分の体験を話すことで他の介護者の役に立てると思えた、相談できる仲間ができたなどであった。このことから、介護者セルフヘルプ・グループの活動は、単に情報交換や悩みを聞いてもらう場だけではなく、介護者の自己実現の場として発展する可能性を示唆していると考えられる。
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