2002 Fiscal Year Annual Research Report
要介護高齢者排尿自立支援行動療法適用のためのスクリーニング法開発と有効性の検討
Project/Area Number |
12672311
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
佐藤 和佳子 山形大学, 医学部, 教授 (30272074)
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Keywords | 尿失禁 / 痴呆性高齢者 / 排尿行動の特徴 |
Research Abstract |
【目的】要介護高齢者排尿自立支援行動療法適用の重要基準と考えられる認知機能評価設定について検討するために、認知機能障害のある有失禁高齢者の排尿行動の特徴を明らかにすることを目的とする予備調査を実施した。【対象者】山形市内にあるS介護老人保健施設に入所している有失禁痴呆性高齢者35名のうち、家族および本人より調査協力への同意が得られた10名中、障害老人日常生活自立度判定基準B以上の7名(全員女性)。【調査方法】対象者の性別・年齢・既往歴・障害老人・痴呆性老人日常生活自立度判定基準・認知機能評価-MMSE・排尿動作チエック票(鎌田,1992)よりADL面(トイレまでの移動、ベッドサイドへの移動、下着の着脱、便器にかける、後始末)、精神面(トイレの位置、トイレの認識、トイレの正しい使い方,正しい排尿姿勢、自発性や意志、失敗に対する差恥心や罪悪感、排尿の希望を伝達)、3日間の排尿日誌より、排尿パターン、尿失禁の有無、残尿量を調査し解析した。【調査結果】対象者の認知機能障害を評価するMMSEと尿失禁頻度に関連は認められなかった。ADL面で移動に介助が必要だが、精神面で排尿の希望を伝達できる3名の失禁頻度は1日に0-1回と低かった一方、ADL面では、自力で移動可能だが精神面で排尿の希望を伝達できない3名と、同様にして、排尿の希望を伝達できなく、さらに、ADL面に介助が必要な1名の失禁頻度は、1日のうち排尿回数のうち半数以上が失禁しているという高い失禁頻度を示した。以上の結果により、有失禁痴呆性高齢者の排尿行動の特徴として、認知機能障害を評価する尺度得点と尿失禁頻度との関連は低く、排尿の希望を伝達できる能力が低いと、失禁頻度が高く失禁を悪化させる可能性が示唆された。
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