2001 Fiscal Year Annual Research Report
終末期がん患者のスピリチュアルケアに関する理論的基盤の構築
Project/Area Number |
12672314
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
河 正子 東京大学, 大学院・医学系研究科, 講師 (60291316)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
水野 道代 石川県立看護大学, 看護学部, 助教授 (70287051)
萱間 真美 東京大学, 大学院・医学系研究科, 講師 (60233988)
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Keywords | スピリチュアリティ / 緩和ケア / ホスピスケア / がん / グラウンデッド セオリー アプローチ |
Research Abstract |
緩和ケアを受ける日本人がん患者のスピリチュアリティの意味とその構成概念を、質的研究手法を用いて帰納的に明らかにすることを目的として、以下のように研究を実施し、知見を得た。 1.文献や既存の知識を用いた研究対象領域の選定 スピリチュアリティに関する欧米の文献検索を行い、検索基準を満一たす49文献の記述を分析した。スピリチュアリテイという概念には、「統合、関係」「孤立」という関係性、「超越的なものへの探求」「内的自己探求」「他者や環境事象への探求」などの方向性の要素が含まれていた。 2.緩和ケア病棟における予備調査 首都圏の1緩和ケア病棟に入院中の終末期がん患者3名に各2回程度のインタビューを実施、その逐語録を質的に分析した。抽出されたカテゴリーは「先が見えない」「孤立することへの恐怖」「規範と対立する自分」などであった。個人のスピリチュアリティのあり方に関連する要因を時間的変化にも着目しつつとらえていく必要があることが示された。 3.本調査 予備調査を経て完成させたプロトコールに従い、本調査を実施した。4ヶ所の緩和ケア病棟にて計13名の患者に、グラウンデッドセオリーアプローチによるインタビューを各2回程度行なった。その逐語録を各研究者が整理した上で合同会議を開き、分析を進めた。死を意識する状態におかれたことを契機に、個人の価値観の転換や葛藤、意味の探求などの過程が展開していた。理想と現実のギャップを意識する強さがスピリチュアリティに関わる苦悩の表現の強さと関連していることが示唆された。ギャップ意識している事例の理想は「健康で何かできる自分」「自律している自分」「死を覚悟した自分」など内的自己のあり方と、「父親の役割を果たす」「周りに迷惑をかけない」など他者との関係のあり方とに大別された。ここにスピリチュアリテイの構造の一端が示されていると考えられる。
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Research Products
(1 results)