2001 Fiscal Year Annual Research Report
精神分裂病患者に対する訪問ケアの技術とその効果に関する研究
Project/Area Number |
12672315
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
萱間 真美 東京大学, 大学院・医学系研究科, 講師 (60233988)
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Keywords | 精神分裂病 / 訪問看護 / 医療費 / 国際情報交換 |
Research Abstract |
訪問看護室を擁し、4年間以上の訪問実績を有する精神科病院において、訪問ケア開始後2年間を経過した精神分裂病患者の全てを対象に訪問看護の開始前後2年間について入院期間と医療費を産出して比較した。 調査を行うことが出来た全数50名(男性27名)について分析した結果、訪問看護前後において精神科への入院回数はともに1.2回であり変化は認められなかったが、訪問看護開始前の入院日数が平均で約366日間であったのに対して訪問看護開始後は平均で約102日と大幅に短縮されていた。また、訪問看護開始前後の2年間における医療費を試算した。試算の条件として、外来診療を2週間に1回、訪問看護を週に1回としておこなった。結果、訪問看護開始前の医療費総額は4,958,830円と算出された。これに対し、訪問看護開始後の医療総額は2,478,992円と算出され、これも大幅な減少がみられ統計的に有意であった。 また、精神科領域において訪問看護を利用する当事者に対してインタビュー調査と看護記録による生活背景の調査を行い、利用者の持つ主観的な訪問看護へのニードを分析した。 その結果、訪問看護におけるケアは利用者のニードによって3つの領域「生活行動への援助」「情緒的充足をもたらす会話」「医療や状態管理に関する援助」にわけられ、それぞれにおいて利用者が重視する要素が異なっていた。たとえば生活行動への援助においては、「一緒に」「かわりに」等の看護者が生活行動に関わる割合(ケアの代償レベル)を重視しており、また情緒的充足をもたらす会話においては利用者の意思を表出させるような言葉かけを重視していることが抽出された。
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