2002 Fiscal Year Annual Research Report
戦後核関連科学技術政策に関する日米関係の実証的研究
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12680002
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Research Institution | Tokyou Institute of Technology |
Principal Investigator |
山崎 正勝 東京工業大学, 大学院・社会理工学研究科, 教授 (20106959)
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Keywords | 日米関係 / 原子力 / 冷戦 |
Research Abstract |
(資料収集)昨年度までに米国にある基本資料の収集を終えたので、本年度は国内資料の収集に努め、特に正力松太郎初代原子力委員会委員長、科学技術庁長官関係の資料を中心的に調査を行った。正力と米国との連携は、日本テレビの取締役を務めた柴田秀利氏の役割が大きかったことが知られるようになってきている。ご遺族と連絡をとったところ、幸いにも米国関係者との往復書簡などの関係書類が残されていることが判明し、泰子夫人と資料を管理されている奥田謙造氏のご厚意で、資料の閲覧及び一部資料の複写物の入手が可能になった。この資料は、国際的に見ても第一級の資料と考えられる。 (資料分析)日米の双方の基本資料が収集されたので、その相互の関係を再現できるようになった。特に両者の動きが本格化する1954年3月のビキニ事件以降については、おおよその関係を明らかにすることができた。とりわけ柴田氏がビキニ後の原水禁運動の沈静化を狙って原子力の平和利用を進めたとする最近の理解に対し、米国は国家安全保障会議のレベルで、日本国内外の世論の動向の懸念から原子炉導入を構想していた事実が確認できた意義は大きい。また、正力側の提案とされてきてきた1955年11月の原子力博覧会の開催についても、財界、学界などの関係者との交流を含むより広い視野に立った政策の一環として、すでに前年から米国側が構想していたことが判明した。これらの点については、現在投稿論文を準備中である。
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