2000 Fiscal Year Annual Research Report
日本人スポーツ選手の周辺を視る能力は劣っているか-周辺視野反応時間の心理・生理学的研究-
Project/Area Number |
12680026
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
小田 伸午 京都大学, 総合人間学部, 助教授 (10169310)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
森谷 敏夫 京都大学, 大学院・人間・環境学研究科, 教授 (90175638)
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Keywords | 中心視野 / 周辺視野 / 反応時間 / トレーニング効果 / トレーニング効果の転移 / premotor time |
Research Abstract |
今年度は、本研究目的に合致した反応時間の測定システムの開発に時間を要したため、日本人学生と外国人学生(留学生)を対象にした周辺視野反応時間の測定と、競技レベルが異なるスポーツ選手を対象とした周辺視野反応時間の測定は来年度に回した。 今年度は、被験者を周辺視野30度からの視覚情報をもとに反応するトレーニング群と、中心視野からの視覚情報をもとに反応するトレーニング群の2群に分け、それぞれ3週間の反応時間課題のトレーニング効果について検討した。両群共にトレーニング後にはトレーニングを行なった課題における反応時間の短縮がみられ、その短縮はpremotor timeの短縮によるものであった。また、トレーニング効果は、トレーニングを行なっていない課題にも転移してみられた。トレーニングを行なった周辺視野角度(30度)の反応課題のpremotor timeの短縮率は、トレーニングを行なっていない中心視野反応課題および周辺視野角度が小さい(10度)反応課題のpremotor timeの短縮率と比較して大きい値を示した。一方、トレーニングを行なった中心視野反応時間のpremotor timeの短縮率とトレーニングを行なっていない10度及び30度の周辺視野反応課題のpremotor timeの短縮率の間に違いはみられなかった。これらの結果は、周辺視野反応時間のトレーニング効果には、周辺視覚刺激が呈示される位置の特異性がみられることを示唆するものであり、周辺視野反応時間のトレーニングでは、視覚刺激の周辺角度に留意する必要性があることが明らかになった。周辺視野トレーニング群は、運時系と視覚系の処理時間の短縮をもたらしたのに対して、中心視野反応時間トレーニング群では、運時系の処理時間のみが短縮したものと考えられた。
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