2001 Fiscal Year Annual Research Report
高地トレーニングの成功率を高めるための生理学的研究
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12680043
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Research Institution | National Institute of Fitness and Sports in Kanoya |
Principal Investigator |
山本 正嘉 鹿屋体育大学, スポーツトレーニング教育研究センター, 助教授 (60175669)
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Keywords | 高所トレーニング / 低酸素 / 常圧低酸素室 |
Research Abstract |
今年度は次の2つの観点から,高所トレーニングの成功率を上げるための生理的な基礎研究および競技力を向上させるための実践的研究を行った. (1)通常のスポーツ選手を対象とした高所トレーニング 常圧低酸素室を用いて,昨年度の研究で有効性を確認した,「living low, training low + training high」方式によってスポーツ選手の競技力向上を図るとともに,このトレーニング効果の生理学的な背景について解明した.対象者は,自転車競技選手及びウインドサーフィン選手であった.その結果,このトレーニング後には,昨年明らかにしたように血中乳酸の蓄積に著しい抑制効果が起こること,また今年度の研究結果からは新たに,高強度運動領域での換気量,酸素摂取量,心拍数の改善も見られることが明らかになった.また,このトレーニング後に選手の競技成績は大きく向上した. (2)高所登山を行う登山者を対象とした高所順化トレーニング ヒマラヤ等で高所登山を行う登山者に対して,常圧低酸素室を用いた事前の高所順化トレーニング法を検討した.2000〜6000mに設定した常圧低酸素室内で,1日あたり午前と午後で1〜2時間程度の安静と運動,また夜間には7時間程度の睡眠をとるというトレーニングを1週間行った.その結果,安静時や運動時において動脈血酸素飽和度の上昇および心拍数の低下が観察され,高所順化が得られた.また,このトレーニング後にヒマラヤに出かけた登山者の登頂成功率は,トレーニングを行わなかった登山者よりも高かった. 以上の結果より,本研究の(1),(2)で行った高所トレーニングはいずれも,成功率の高い実用的な方法であると考えられる.
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Research Products
(3 results)
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[Publications] 狩野和也: "常圧低酸素室を用いた"living low, training high"方式のトレーニングが自転車競技選手の身体作業能力に及ぼす効果"トレーニング科学. 13巻・2号. 81-92 (2001)
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[Publications] 山本正嘉: "常圧低酸素室を用いたヒマラヤ登山のための高所順化トレーニング"登山医学. 21巻・1号. 33-40 (2001)
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[Publications] 前川剛輝: "高度2,000mでの4日間の睡眠時低酸素暴露により4,000mでの最大有酸素性作業能力は改善する"登山医学. 21巻・1号. 25-32 (2001)