2002 Fiscal Year Annual Research Report
大都市圏における農地利用の多機能化とその調整メカニズムに関する地理学的研究
Project/Area Number |
12680080
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
菊地 俊夫 東京都立大学, 理学研究科, 助教授 (50169827)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山本 充 埼玉大学, 教養学部, 助教授 (60230588)
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Keywords | 大都市圏 / 農地利用の多機能化 / アリーナ社会 / 空間的多様性 / 時間的多様性 / 近隣社会 / 工業化社会 / 地域アイデンティティ |
Research Abstract |
今年度の研究では、大都市圏における農業的土地利用の多面的機能を実証的に分析し、農地利用の多機能化にともなう地域活性化を明らかにした。特に、ドイツのバイエルン地方における実証的な調査研究を研究分担者の山本充氏とともに実施し、農地の農業的利用と観光的利用、都市住民の癒し機能、あるいは環境保全機能がどのように関連し合って地域活性化を実現してきたかを明らかにした。つまり、農地利用は空間的に多様化するだけでなく、時間的にも多様化し、地域経済においても多就業化をもたらしている。このような多様性を調整する機能として行政組織や地域組織があり、それらの社会組織の在り方が農地の多面的機能を基盤とした地域活性化に大きな影響を及ぼしている。具体的には、地域組織や行政組織が近隣社会型から工業化社会型を経て、アリーナ社会型へ変化することが1つの特徴として指摘できるが、そのことの詳細な検証は次年度に残された課題である。しかし、地域組織や社会組織のアリーナ社会化に関する検討は、東京大都市圏の後背農村(群馬県大泉町)を事例にして行われ注目し、その運営や参加から地域組織や社会組織の変化を検討した。群馬県大泉町では祇園祭が農地利用と農村コミュニティと強く結びついて行われ、それは閉鎖的な農村社会に支えられてきた。しかし、農村工業の発達により、農外労働者の流入と農地利用の衰退により、伝統的な祇園祭りが衰退し、農村はその基盤を脆弱化させて工業化社会の性格をもつようになった。しかし、地域アイデンティティを確立する必要から、誰でも参加でき、多様な要素を盛り込んだ「大泉祭り」が実施されるようになり、その祭りがアリーナ社会の象徴として機能するようになる。つまり、地域の多様性を容認し重視することで、地域アイデンティティの確立と活性化を図ってきた。このようなアリーナ社会の構築メカニズムは今後の課題であるが、その役割や効用、あるいは存在意義は農地の多機能化のものと共通するところが少なくない。
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Research Products
(7 results)
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[Publications] Kikuchi, T.: "Characteristics of land-use changes in Beijing metropolitan area, China"Himiyama, Y., Hwang, M., Ichinose, T. eds. Land-Use Changes in Comparative Perspective Science Publishere (Plymouth UK). 149-164 (2002)
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[Publications] Kikuchi, T., Zhang G.M., Wang, P.: "The spatio-temporal changes and their structure agricultural land use in Beijing metroplitang region"Otsubo, K. ed. study on the Processes and Impact of Land-Use Changes in China National Institute for Environment studies. 179-188 (2002)
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[Publications] Zhang, G.M., Kikuchi, T., Wang, P.: "Landscape analysis about the land use change in Beijing, China"Otsubo, K. ed. Study on the Processes and Impact of Land-Use changes in China National Institute of Environment studies. 189-196 (2002)
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[Publications] Kikuchi, T., Yabe, K.: "Development of the arena society and its discontent in terms of regional festival : a case study of Oizumi-machi as liberade of Japan"Geographical Reports of Tokyo Metropolitan Univ.. 38. 29-40 (2003)
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[Publications] 菊地俊夫: "「身近な地域の国際化の進展」を読み解くために"地理月報. 467. 8-10 (2002)
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[Publications] 菊地俊夫: "三宅島における土地利用変化"地理. 48-1. 25-30 (2003)
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[Publications] 菊地俊夫, 岡秀一編著: "住の世界"二宮書店(印刷中). (2003)