2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
12680090
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Research Institution | Kochi University |
Principal Investigator |
江口 卓 高知大学, 人文学部, 教授 (30263966)
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Keywords | 屋久島 / 山岳気候 / 気温減率 / 湿度 / 逆転層 / 上層風 |
Research Abstract |
屋久島の気候環境とその原因を3次元的に明らかにするため,総合的な気象観測を山岳部で行い,観測によって収集したデータを中心に解析を行った.本年度は,.特に鹿児島の高層観測データと屋久島の観測データの比較から,自由大気の成層状態と屋久島における温湿度の標高による変化を,気圧配置および風系の変化を中心に解析を行った。結果は以下の通りである。 1.黒味岳の風のデータを基に,屋久島高標高域の風と鹿児島の上層風の比較を行った。鹿児島に比べ黒味岳では東成分の風の出現頻度が高かった。この原因は,高気圧の支配下にあるなどして,一般風が弱い場合,鹿児島で西成分の弱風,黒味岳で東成分の弱風が観測される場合が多かったことによる。 2.気圧配置および山頂付近の風向の違いによって気温および湿度の標高による変化に違いが認められた。特に,高気圧に覆われ,1000-1500mの高度帯に逆転層が発達する場合,標高1360mの森林地域に位置する淀川と標高1800mの山頂部に位置する黒味岳の間では,気温の顕著な逆転が起こるとともに,相対湿度の急激な低下が認められた。このことから,自由大気の温湿度状態の変化に対し,樹林帯では,森林そのものが温湿度の変化を防ぐ役割をはたしているのに対し,樹林帯から抜ける山頂付近では,湿度の急激な変化が起こっていることが明らかになった。 3.以上の結果により,屋久島の高標高域の温湿度環境は低地部とは大きく異なることが明らかになり,その変化は,被覆している植生の状態と上層の一般風の成層状態との関連によって生み出されていることが明らかになった。
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