2000 Fiscal Year Annual Research Report
大豆食品の加工・調理における脂質由来化合物の生成と風味に及ぼす影響
Project/Area Number |
12680130
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Research Institution | Nara Women's University |
Principal Investigator |
高村 仁知 奈良女子大学, 生活環境学部, 助教授 (70202158)
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Keywords | 大豆 / 豆臭 / ヘキサナール / アルデヒド / リポキシゲナーゼ / ヘッドスペース / 脂質 / 脂質過酸化物 |
Research Abstract |
大豆の持つ特異なにおい「豆臭」は、大豆の利用拡大を妨げている。豆臭の成分はヘキサナールをはじめとするカルボニル化合物などである。これらは高度不飽和脂肪酸がリポキシゲナーゼによって過酸化され、生じた脂質過酸化物が分解することによって生成する。しかし、他にも多くのにおい成分や呈味成分が存在し、その多くは大豆に含まれる脂質から酵素的・非酵素的に生成すると考えられる。本研究では、大豆の加工・調理過程において生成するこれらの脂質由来化合物について、高速液体クロマトグラフィー、ガスクロマトグラフィー、および質量分析計を用いて明らかにするとともに、これらが大豆食品の風味に及ぼす影響、および風味に悪影響を及ぼす成分の生成条件を解明することを目的としている。 本年度は、大豆から「豆乳」を調製し、基礎となる研究を行った。食用・加工用として一般に使用されている大豆品種、ならびに豆臭の原因となるリポキシゲナーゼ(L-1、L-2、L-3)を欠損した大豆を原料として用いて「豆乳」を調製した。また、大豆に含まれている脂質の影響を除くため、ヘキサンで脱脂処理を行って得られた脱脂大豆から「脱脂豆乳」を調製する。 これらに基質としてリノール酸、リノレン酸、リノール酸ヒドロペルオキシド、リノレン酸ヒドロペルオキシドを加え、種々の温度およびpH条件下でインキュベートし、ヘッドスペース中に生成した揮発性成分をSPME(微量固相抽出)法により濃縮し、ガスクロマトグラフおよびガスクロマトグラフ-質量分析計で定量・同定を行った。また、ガスクロマトグラフ-オルファクトメトリーでにおい成分の分析を行った。 その結果、大豆特有の「豆臭」には主としてヘキサナールなどのアルデヒドが寄与するものの、他の化合物もにおいに寄与することを見いだしつつある。今後はこれらの全容について明らかにするとともに、大豆油や大豆タンパク質などの加工品についても研究を行う予定である。
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