2000 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
12680131
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Research Institution | Nara Women's University |
Principal Investigator |
中田 理恵子 奈良女子大学, 生活環境学部, 講師 (90198119)
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Keywords | 葉酸代謝 / 葉酸欠乏 / 抗酸化 / ビタミンC / ビタミンE / グルタチオン |
Research Abstract |
申請者は、生体内での葉酸の機能を、化学的に正確な量を基礎として解明するための研究を推進している。葉酸は、古くから抗貧血因子として知られているが、生体内では大部分が還元型として存在していることから、抗酸化物質として機能している可能性が考えられる。そこで本年度は、葉酸の生体内における抗酸化ビタミンとしての機能を評価することを目的に、葉酸欠乏過程において、生体内に存在する葉酸誘導体の動態に対応して、生体内で抗酸化系で作用する物質がどのように変化するか検討した。ラットに葉酸欠乏食を与えて飼育したところ、5週目より体重、ヘマトクリット値、ヘモグロビン濃度が減少して、貧血の症状が認められた。肝臓中の葉酸誘導体は、還元的条件で肝臓より抽出した後、HPLCにて分離し、電気化学的に検出する方法により特異的に定量した。その結果、貧血の症状が認められる以前の2週目より、テトラヒドロ葉酸(THF)、5-メチルTHF、5-ホルミルTHFが有意に減少した。次に、抗酸系で作用する物質として、ビタミンC、E、グルタチオン量を測定した。血漿および肝臓中のビタミンC量を特異的に定量したところ、欠乏食開始5、6週目においてコントロールに対して有意に減少した。本研究で用いたWistar系のラットは、体内でビタミンCを合成することができるにも関わらず、ビタミンC量の減少が認められたことから、葉酸の欠乏によって体内でのビタミンCの消費が増大した可能性が考えられた。ビタミンE量は、血漿では2週目から、肝臓では4週目からコントロールに対して有意に減少した。肝中のグルタチオン量も、5週目から有意に減少した。以上の結果から、葉酸欠乏によってこれらの抗酸化物質が減少し、生体内の酸化が亢進している可能性が示唆された。
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Research Products
(1 results)