Research Abstract |
蒟蒻飛粉の有効利用と環境負荷の低減化を図る観点から,群馬県で3年間(1998〜2000年)に収穫した飛粉(無処理C)を超音波併用のエタノール浸漬15分間処理(A),エタノール浸漬15分間処理(B)の各種飛粉の走査型電子顕微鏡組織構造観察,臭気物質,色調,一般成分,食物繊維,無機成分,遊離アミノ酸含有量を調べた。Aの成分粒子は分散の形態が観察され,AはBに比し3年間共通してTMA, DMA値が顕著に減少し,色は茶褐色が抑制された。Aの成分は炭水化物,食物繊維,たんぱく質,無機質が比較的多く含有する傾向を示し,有用な食品素材であることを証明した。その結果は家政誌(52巻,2号,2000年)と日本食生活学会誌(12巻,2号,2001年)に報告した。精製飛粉素材(A)の活用では,素材Aを用いてパンやカステラを製造したところ,従来のパンやカステラに無い好ましい食感を付与できること,更にパンの4日間保存では老化現象は進まなく,パンの品質改良が計れることを見出し家政誌(52巻)やカステラは平成13年度日本調理科学会大会に報告した。平成13年度は,飛粉素材A, B, C添加ビスケットを製造し,その製品の性状,成分,食味及び保存性を検討した。素材Aはビスケットの副材料として小麦粉の10%まで添加できた。焼成品(試料A)は薄い茶褐色で,スプレッドファクター,膨化率は無添加品(試料S)とほぼ同等の性状を呈し,破断応力は大きく硬いが,破断エネルギーは小さくもろい食感を形成し,吸水率は有意に大きく,試料Aの成分値はSよりたんぱく質,食物繊維,無機質の含量が多く栄養特性の改善が期待された。嗜好性に関与する遊離アミノ酸や遊離糖では,試料AはSに比べ含有量が多いことを認め,嗜好面では試料AはSと同程度に好まれた。素材B, Cの10%添加品では食味が劣った。試料AとSの明所(1500Lx)48日間保存の過酸化物価は両者とも大きな油脂の変敗はなかった。A素材7.5%添加カステラをラスクに加工する最適焙焼条件は遠赤外線オーブンの70℃,6時間設定で,品質が優れ,食味は無添加と同等に好まれた。
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