2001 Fiscal Year Annual Research Report
組織学的およびレオロジー的アプローチによるシューペースト膨化機構の解明
Project/Area Number |
12680146
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Research Institution | SEIWA COLLEGE DEPARTMENT |
Principal Investigator |
今津屋 直子 聖和大学, 教育学部, 講師 (70309441)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
勝田 啓子 奈良女子大学, 生活環境学部, 助教授 (50093555)
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Keywords | シューペースト / 昇温過程 / レオロジー特性 / 膨化挙動 / DSC測定 / 小麦デンプン / 複屈折性 / 熱特性 |
Research Abstract |
シュー生地(CP)焼成中の形態変化をビデオ撮影し、コンピューターに取り込み定量化した。定量化により、横方向への膨化開始時期が明確となり、縦方向との膨化開始時期を比較することが可能となった。焼成過程に捉えた断面写真より、発生した気泡がはじめに横に膨張することがわかった。このことは、横方向への膨化が縦方向よりも早かったことを裏付けた。SEM観察より、デンプン粒は球状でくぼみがあった。球状のものがあるということは糊化していない可能性が示唆された。そこで、加熱程度の異なるデンプン粒より、温度との関係を調べた。ホットプレート上で加熱したMCPのデンプン粒の多くは複屈性がなかったが、わずかにみられ、CP中のデンプン粒は球状のかたちを残していても、非結晶化しており、すなわち糊化していることがわかった。 次に、CPの昇温過程におけるレオロジー的挙動をあきらかにするために、常法CP(CCP)よりも単純な系であるモデルのCP(MCP)を用いて、その熱特性を測定し、レオロジー特性との関係について検討した。その結果、MCPの約50-80℃のトルクの減少および増加は、材料であるバターや卵液の吸熱反応が示す熱特性が力学的性質に反映されたものであること、一方94℃以上の増加は熱特性によるものではなく、水分蒸発による生地の硬化が反映されていることが示唆された。また、MCPの熱特性を最も支配していたのは、卵液の変性であった。このように、DSC測定による熱特性からだけでは、膨化挙動をとらえることはできないが、レオロジー特性や組織学的アプローチとあわせて考察することによって、シュー膨化のメカニズムを推察することができた。なお、この成果については第49回レオロジー討論会で発表した。
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