2000 Fiscal Year Annual Research Report
牛乳ホエータンパク質のゲル形成時における構造変化の比較系統的解析
Project/Area Number |
12680152
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Research Institution | Nihon University Junior College |
Principal Investigator |
太田 尚子 日本大学短期大学部, 三島, 専任講師 (00203795)
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Keywords | β-ラクトグロブリン / ゲル / 脂肪酸塩 / FTIR / クライオ-TEM |
Research Abstract |
既に明らかになっている卵白アルブミン同様、β-ラクトグロブリンも常温下で脂肪酸塩誘導ゲルを形成し得る事を見い出した。そこで脂肪酸塩誘導β-ラクトグロブリンゲルの最適形成条件とその際のタンパク質二次構造の変化をFTIR解析を用いて明らかにした。 最適ゲル化条件を動的粘弾性とゲルの保水性を尺度として調べた結果、タンパク質濃度12%、カプリン酸ナトリウム2.4%、総イオン強度0.35、pH7.5-8.0である事が判った。 本条件下でのゲル形成には脂肪酸塩誘導卵白アルブミンゲルよりも長時間(約24時間)を必要とするが、卵白アルブミンの場合に比べて更に透明度が高く、透過法を用いたFTIR解析に好都合のサンプルであり、ゾル状態、ゲル状態(脂肪酸塩誘導ゲル)、脂肪酸塩存在下の加熱誘導ゲルの3条件下でスペクトルを比較したところ、ゲル形成に伴う分子内β-シートの減少と同時に分子間β-シートの増加が観察された。また、タンパク質高次構造の変化量を指標に考察すると、常温下でのゲル形成は、加熱ゲル形成時に比べてよりマイルドな高次構造変化に基づく事が判った。 更に、透明ゲルの微細構造をCryo-TEMを用いて観察したところ、脂肪酸塩添加加熱誘導β-ラクトグロブリンゲルでは、低イオン強度下(総イオン強度0.03)で調製した脂肪酸塩非存在下の透明ゲルに比べてやや太い繊維状構造(無添加で5OÅ.FAS添加で60〜120Å)を有する微細で且つ均質な三次元ネットワークが構築されている事が判った。
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